「
大阪杯・G1」(2日、阪神)
これが
年度代表馬の誇りと底力だ。
武豊騎乗の単勝1番人気
キタサンブラックが好位から鮮やかに抜け出し、G1昇格を果たした一戦で初代王者に輝いた。年内引退を示唆していた歌手でオーナーの北島三郎(80)も、愛馬の強さに思わず撤回を宣言。次戦は
有馬記念で後じんを拝した
サトノダイヤモンドが待つ
天皇賞・春(30日・京都)。リベンジを果たし、秋に描く海外遠征を現実のものとしていく構えだ。
新たな歴史の1ページを刻んだのは、やはりこのコンビだった。1番人気の
キタサンブラックが“G1昇格元年”で格の違いを見せつけた。
年度代表馬として臨んだ今年初戦。これまで数々の
ビッグタイトルを手にしてきた
武豊も、重圧から解き放たれ「自然と出た」と力強く
ガッツポーズ。前年比1・5倍を超える5万人近いファンが、大歓声とともに勝者を温かく迎え入れた。「負けちゃいけないという気持ちで、責任を感じていました。昨年、
年度代表馬のタイトルも獲って、本当にファンの多い馬。勝ててホッとしましたね」
信じる気持ちと緻密な戦略が勝利の扉を開いた。序盤は逃げ馬から離れた好位を追走。残り3F過ぎで
ゴーサインを出し、直線半ばで楽々と抜け出した。「思っていた展開になった。普通の馬なら仕掛けが早いけど、この馬ならと思った。後ろを待ち過ぎず、残り300メートルで先頭のイメージ。その通りに乗れた。後ろから差される雰囲気はなかった」。ラ
イバル13頭を従え、堂々と4つ目のG1タイトルを手にした。
見届けた清水久師も「鍛えたかいがありましたね」と破顔一笑。中間は栗東坂路で一日3本乗りなど、周囲の批判を承知で、あえてこれまで以上の負荷をかけて攻めの姿勢に徹した。「やってきたことは間違いでなかった。今までのG1で一番ホッとしました。2年連続の
年度代表馬は、この馬にしかチャンスがない。そこを目指してやっていきたい」と言い切った。
北島三郎オーナーも「強くなりましたね。この興奮は何回あってもいい」と優しい笑みを浮かべる。戦前は年内での引退も示唆していたが、力強くV発進を決めた愛馬の姿に、「引退はやめました。もう少し皆さんのためにも頑張ってほしい。来年も走ってほしい」と思わず“撤回”を宣言した。
次は
天皇賞・春の予定。
有馬記念で首差2着に敗れた“宿敵”と激突する。「連覇を目指したい。
サトノダイヤモンドとの再戦は盛り上がるでしょうし、いいレースをしたい。そこから大きな夢も広がっていくと思う」と
武豊。国内最強を証明し、秋は海外へ。人馬はさらなる高みへと歩みを進めていく。
提供:デイリースポーツ