先週の
大阪杯では
キタサンブラックの止まらぬ進化をリポートした栗東の坂路野郎・高岡功記者が、第77回
桜花賞(9日=阪神芝外1600メートル)の勢力図に“新説”を唱えた。2017年牝馬クラシックは
ソウルスターリングの1強でいいのか。今回はラ
イバルとなる
アドマイヤミヤビにも乗り続けてきた最大のキーパーソン、
ルメール騎手への直撃はもちろん、担当キュウ舎への密着取材を続けた男の確信リポートを、今週もたっぷりとお届けする。
これまで
ソウルスターリングの全レースに騎乗してきた
クリストフ・ルメールは、
桜花賞で最大のラ
イバルとなる
アドマイヤミヤビの過去4走にも全て乗ってきた。そんな男の2頭の“比較論”は実に興味深い。
「
ソウルスターリングはスタートしてすぐスピードに乗れるけど、
アドマイヤミヤビは押していかないといけない。タイプが全然違うよね。ソウルは2000メートルまではいけるかもしれない。ただ、2400メートルはたぶん長い。でもミヤビは絶対に2000メートル以上の距離もいける」
ソウルスターリングの
桜花賞に関しては「ウイークポイント? 何もないよ」と絶大な自信を寄せるルメールだが、距離が延びれば話は変わってくると言いたげ。実際、一部関係者には「
オークスでは
アドマイヤミヤビに乗りたい」と漏らしているとか…。
下馬評では“1強”の2017年牝馬クラシック。だが、最大のキーパーソンでもあるルメールの言動から見えてくるものは、距離適性の違いがあるだけで、能力的には
ソウルスターリングに劣らないぐらい、
アドマイヤミヤビを高く評価している現実だ。
桜花賞が距離適性の違いがハッキリ出る究極のスピード勝負になった場合は厳しいにしても、スタミナと持久力を要求される競馬になれば、そこに逆転の可能性をまず見いだせることになる。
さらにレンジの広さ以外にも、
アドマイヤミヤビが
ソウルスターリングを上回っていると感じる点がある。それはメンタルの安定感だ。これまでレース前に
テンションが上がることも少なくなかった2歳女王に対して、こちらはデビュー戦からいつも平常心。パドックでもチャカついたりするところをほとんど見せたことがない。
「この前、キュウ舎周りの運動をしている時に、暴れだした馬がいて…。他の馬もそれにつられてチャカチャカしていたのに、この馬だけは何事もなかったようにジッとしていたんだ。
マカヒキですら暴れていたのにね。たまに尻っ跳ねする時もあるけど、人が横に来ればすぐ収まる。人が好きというか、なついているというか。とにかく手がかからない馬なんだよね」とは担当の島助手だ。
初めて経験するクラシック独特の雰囲気にのまれ、
桜花賞ではイレ込んでしまう馬も少なくないが、この
アドマイヤミヤビに限っては、その手のリスクはほぼないと言っていい。特に計算しづらい3歳牝馬同士の戦いでは、メンタル的に優位に立つことがどれだけ重要かは指摘するまでもなかろう。
「くしくも
ソウルスターリングが
チューリップ賞でマークした時計とウチのミヤビの
クイーンCの勝ち時計は一緒(1分33秒2)なんだよね。確かにウチの馬にとってマイルの距離は忙しいけど、こなせないわけじゃないし、あの馬に負けるとも思っていない。もちろん向こうもそう思っているだろうけどね。たぶん(ハナ差の大接戦を演じた)去年の
ジュエラーと
シンハライトみたいな、すごい勝負になるんじゃないかと俺は思っているんだ」(島助手)
打倒
ソウルスターリングの1番手はやはり、この
アドマイヤミヤビ。ちまたでは1強安泰ムードだが、
オークスを待たずして、この
桜花賞で打ち破る可能性も決して低くはないと思っている。
(栗東の坂路野郎・高岡功)
東京スポーツ