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桜花賞・G1」(9日、阪神)
女王が5日、無事に美浦Wでの最終追い切りを終えた。直線で横一線に並び、そのままゴールを駆け抜ける藤沢和厩舎流の3頭併せで5F67秒6-38秒8-12秒8をマーク。既に一流馬のオーラをまとった4戦4勝馬の軽快な走りは、仕上がりの良さを存分に伝えた。送り出す名伯楽・藤沢和師は勝てば、史上2人目となる重賞V100の偉業に到達。無敗での桜冠奪取へ向けて、いよいよ死角はなくなってきた。
日本を代表する名トレーナーには、クラシックを前にした気負いなどないのだろう。
ソウルスターリングの追い切りを終えて藤沢和師はこう言った。
「おかげさまで順調に来ている。前走後も穏やかで、カイバも食べているよ。順調だね」
泰然自若。順調こそ何よりといったひょうひょうとした様が、桜の舞台で一本かぶりの人気を集めるであろう“駿女”の快走を、予見から確信に変えさせる。
追い切りは文字通り“持ったまま”だった。外の先行馬は
サトノギャラント(8歳オープン)、中に
バトルスピリッツ(3歳500万下)。3馬身と4馬身、合わせて7馬身追走する形で向正面から発進すると、3角で楽に差を詰め1馬身の間隔で3頭が並ぶ。直線は横並びに隊列を組み直して、そのまま馬体を並べてゴールを駆け抜けた。
全体時計は5F67秒6-38秒8-12秒8。さながら軍隊の謁見(えっけん)行進か、あるいは
マーチングバンドか。計ったような並びが実現するのは、それだけ高い操作性を身に付けているからだ。
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チューリップ賞を)一度使わせてもらっているし、速い時計もいらない。馬なりで良かった」。そう説明した名伯楽は「当初は若い馬で、力んで走っていた。今では力も抜けてきて、馬も利口ですよ」と胸を張る。
4戦無敗。やれ輸送が、やれ仕上がりが。穴党の無理な横やりを、力の違いを見せつけて砕き続けてきた。もはや重箱の隅には、今週末に予想される雨くらいしか残っていない。これにも「暮れの阪神(
阪神JF)は、時計は速くなかったし、上がりもかかっているからね。血統的にも道悪は問題ないと思う」と一蹴した。一片の曇りもなく、ピンクに色づき始めた仁川に乗り込む。
提供:デイリースポーツ