皐月賞を目前にして、出走馬の関係者がつい本音を漏らしていた。
「こんなことを言ってしまうと怒られるかもしれないけど正直、
皐月賞はどうでもいい。ダービーが一番の目標だから」
“どうでもいい”はさすがに誇張した表現なのだろうが、同じ牡馬クラシックとはいえ、
皐月賞とダービーではその重みは段違い。
皐月賞の時点でメイチに仕上げてくる馬はそう多くはないのが現実だ。
同様のことが牝馬クラシックにも言えるのでは。
皐月賞とダービーほどの落差はないにしても、多くの関係者は
オークスより
桜花賞の方を上に捉えているように感じる。
フローラSにも「
桜花賞に間に合わなかった」、もしくは「大人の事情で使えなかった」。そんな馬がチラホラとエントリーしているが…。
アドマイヤローザはこれらとはハッキリと別に扱える。
振り返れば、デビュー戦は同じ日に牝馬限定の1400メートルという番組がありながら、あえて牡馬相手の2000メートルをチョイス。“長距離でこそ”という陣営の強い意思が新馬戦から見て取れる。
前走にしても「アッサリ勝つようなら(
桜花賞も)と考えて
エルフィンS(2着)を使ってはみたけど、やっぱりマイルは短かった。まあ、もともと
オークスでこそと思っていた馬だから」と梅田調教師。
前走後はオーナーサイドの意向もあって
チューリップ賞も視野に入っていたそうだが、1週前に外傷を負ったことで、ここまで待機する形に。
オークス志向のこの馬にとってはかえっていい方に向いており、担当の西村助手も「放牧先でもトレッドミルでしっかり乗ってくれていた。1週前追い切りの息の入りはすごく良かったし、“もっとビシッとやっても良かったかな”って思うくらい。今回はホント順調にきている」とキッパリだ。
性格が素直で、心肺機能が高い、この
アドマイヤローザはやはり距離が延びてこそ。「血統的にも
ドゥラメンテが近親(叔父)になるわけだし、ポテンシャルは高い。なんとか
オークスに出したいね」(梅田調教師)
まずは
フローラSの抽選をクリアしなければならないが、見事ゲートインなれば「権利獲得→大目標へ」というシナリオが見えてくる。
(栗東の坂路野郎・高岡功)
東京スポーツ