「
天皇賞(春)・G1」(30日、京都)
1番人気
キタサンブラックが、最終4角で先頭に立ち後続を完封。G1・5勝目を挙げるとともに、史上4頭目の連覇を果たした。06年
ディープインパクトの記録を0秒9上回る、3分12秒5の
JRAレコードV。次戦の
宝塚記念(6月25日・阪神)での春の古馬王道G1
グランドスラム、そしてその先にある
凱旋門賞・仏G1(10月1日・
シャンティイ)挑戦へ-。現役最強馬の夢は限りなく広がっていく。2着は4番人気
シュヴァルグラン。2番人気
サトノダイヤモンドは3着に終わった。
そこには、もはや疑う余地のない“歴史的名馬”へと昇華した
キタサンブラックがいた。
脚色がいっぱいになりながらも必死に先頭でゴールを目指す。後方から強敵2頭が迫るが、馬体を並ばせることすら許さない。鼻差の辛勝だった1年前とは違う、1馬身1/4差の完勝だ。昨年度の
年度代表馬に輝いた
プライドを胸に、
有馬記念で後じんを拝した
サトノダイヤモンドへのリベンジに成功。史上4頭目となる
天皇賞・春連覇を成し遂げた。
「皆さんの期待に応えられてうれしい。最後はさすがにいっぱいいっぱいになったが、頑張ってくれと一生懸命に追っていた。勝たなければいけない立場の馬。そういう馬に巡り合えて幸せです」
史上初の
JRA同一G1レース8勝目を挙げた“平成の盾男”
武豊も興奮気味に話す。自ら騎乗した06年に、
ディープインパクトがマークした従来の記録を0秒9も更新する3分12秒5の大レコード勝利。「当時はしばらく破られないと思っていたが…。それでも今年は昨年よりも速いタイムで走れる自信はあった。改めて強い馬だと感じた」と名手も相棒の成長にうなる。
レースは「ある程度予測していた」と話す通り、大外から
ヤマカツライデンが果敢にハナへ。ぐんぐん飛ばして引き離しにかかる場面もあったが、慌てず騒がず2番手をがっちりキープした。勝負に出たのが2周目4コーナー。「早く先頭に立ったが、この馬ならと思って追いだした」。その期待に応えてのG15勝目は、06年のディープを最後に途絶えていた1番人気馬の春天連敗をストップする勝利でもあった。
清水久師は「素直にうれしいです」と安堵(あんど)の表情を見せる。「前走の
大阪杯も休み明けだったが、結果にこだわっていました。体つきを見てもまだ筋肉が乗ってくるところはありそう。本当に健康で丈夫な馬です」と笑顔でうなずいた。次走は
宝塚記念を予定しているが、「夏を無事に越せればフランスを含め、いろいろ考えます」。現役最強を誇示した今、
凱旋門賞挑戦プランが、いよいよ現実味を帯びてきた。
提供:デイリースポーツ