「
ヴィクトリアマイル・G1」(14日、東京)
期待の素質馬が大舞台ではじけた。メンバー中最軽量(422キロ=歴代覇者でも最軽量)の6番人気
アドマイヤリードが直線で鋭い瞬発力を発揮。1分33秒9のタイムで重賞初Vを
ビッグタイトルで決めた。2着に11番人気の
デンコウアンジュ、3着に7番人気
ジュールポレールが入り、3連単は91万円超と荒れた。1番人気の
ミッキークイーンは、好位追走から直線での伸びを欠いて7着に敗れた。
勝負根性を最大限に引き出す作戦。直線、ルメールは
アドマイヤリードをあいた内へ導くことなく、あえて前で競り合う
ソルヴェイグと
スマートレイアーの間のわずかなスペースを割った。絶妙なコントロールの先に、
ビッグタイトルが待っていた。
「末脚には自信がありました。4コーナーでミルコ(
クイーンズリング)の後ろにいたが、道が生まれたのでそこを狙いました。狭くなりましたが、そこをパスできる馬。自信を持って行けた」とルメールは胸を張った。この日JRA通算600勝を達成した鞍上の好リードに、相棒の切れ味が
ミックスされての戴冠だ。
「“前半でストレスをかけると最後にやめてしまう。
リラックスして流れに乗ってほしい”と。その通りに騎乗してくれた」。15年
天皇賞・春を
ゴールドシップで勝って以来、JRA・G1勝利から見放されていた須貝師も満面の笑み。
非凡な素質を高く評価されながら、2歳時は400キロを切ったこともある線の細い馬体で、調整に苦しんだ。それが昨夏を境にグングン成長。カイ食いが減ることなくメニュー通りの追い切りを消化できるようになった。今回も府中への長距離輸送がありながら、木曜の事前馬体重と同じ422キロ。精神面、肉体面の強化がG1制覇へとつながった。
「昨年春、松田博資先生(元調教師)から引き継いでから、うちの厩舎の調整に戸惑っていた感じでしたが、ひと夏を越して成長してくれた。精神面が安定したんです」と指揮官は、長かった道のりを振り返るとともに、「松田先生は、よくこれだけの馬を育ててくれた。お礼を言いたいですね」と感謝した。
遠回りはしたが、恐ろしいまでに切れる瞬発力はそのままに、体質強化に成功し、頂点へたどり着いた。「馬の状態、オーナーと相談してからですが、
安田記念(6月4日・東京)ではレース間隔が短くなる。放牧に出してゆったりさせ、おそらく
クイーンS(7月30日・札幌)に向かうことになると思う」と今後のプランを明かした。ようやく素質を開花させた新女王は、さらなるレベルアップを果たし、今後の牝馬戦線を盛り上げていく。
提供:デイリースポーツ