日本ダービーでの
アドミラブル&
ベストアプローチ推しこそ、超スローの流れも影響して、不発に終わった「トレセン発(秘)話」の高岡功記者だが、「立ち止まらない。振り返らない。やるべきことをやるだけです」と
ファイティングスピリットは決して崩さない。第67回
安田記念(6月4日=東京芝1600メートル)も、やはり“冒券者”。勇者であれ、Be ambitious!
これまでずっと折り合いに課題を抱えながらも、1800〜2200メートルの中距離戦で“我慢”させ続けてきた
アンビシャスを、2歳戦以来となるマイル戦に、ついに投入してきた。
待望の路線変更に小躍りしている“
アンビシャスファン”も少なくないと思われるが、当事者でもある担当の蛭田助手は、意外にももろ手を挙げて大歓迎…というムードではなかった。
「東京のマイルという舞台だけを考えれば、間違いなくいいと思います。前走(
大阪杯5着)後に福永騎手に(次走も騎乗するとすれば)“
宝塚記念と
安田記念どっちがいいと思いますか?”と聞いたら“
安田記念”とすぐ返ってきたくらいですから」
結局、福永とのコンビ継続はならず、横山典とのタッグで
安田記念に臨むことになった経緯は別にして、なぜ、蛭田助手の感触が微妙なのかは非常に気になるところだ。
「だって今年のマイル路線の競馬を見ると、ほとんどがスローの我慢比べみたいな競馬になっているじゃないですか。あれを見ると、本番でもそうなってしまうんじゃないかと思ってしまうんですよね」
実際に調べてみた。今年に入ってから施行された芝1400〜1600メートルの古馬重賞全9競走のうち、前傾ラップとなったのはわずかに2レースのみ。
東京新聞杯のように、前半3ハロンのラップが後半のそれより4秒5も遅い超後傾ラップもあった(37秒2→32秒7)。
ちなみに昨年の同時期、同重賞で見ると、前傾、もしくは平均ラップになったのが5レースを数えたのだから、今年のマイル路線にスロー競馬が“蔓延”しているのは間違いない。
要は「速い流れになるマイル戦なら、折り合いの心配もなくなり、
アンビシャスの持ち味が生かせる」と言いたくても言えない、一連の前哨戦の流れが微妙な感触にさせている、ということなのだ。
ただし、裏を返せば、“望む流れになりさえすれば、
アンビシャスのGI初戴冠の可能性は大いにあり”とも受け取れる。実際、香港馬2頭(
コンテントメント、
ビューティーオンリー)の参戦ほか、不確定要素は多々あり、今までの流れがそのまま
安田記念に受け継がれると決まったわけではない。いや、むしろ先行馬が複数いたにもかかわらず、超スローで流れた先週の
日本ダービーに象徴される通り、戦前の予想通りにはいかないのが競馬と考えれば…。
「道中、脚をためていければ、しまいは確実に伸びますし、東京の長い直線自体は合う。とにかく流れが速くなってほしい」と願う蛭田助手。もう一頭の担当馬
アドミラブルがダービーで“洗礼”(超スローにより差し届かず、1番人気3着敗戦)を受けているだけに、その気持ちは痛いほどよく分かる。
もちろん、当事者と違って、競馬記者は流れを読むことを含めての「予想」であり、流れが遅いからうんぬんを言い訳にはできないことは重々、承知しているが…。予想以前に、GIだからこそタイトな競馬が見たい気持ちも正直、否定できない。
今週の
安田記念こそは、GIらしい流れになることを期待しているし、そうなりさえすれば、
アンビシャスのマイルGI初参戦は吉と出る可能性が高いと思っている。
(栗東の坂路野郎・高岡功)
東京スポーツ