春のGIシリーズがひと区切りついたところで行われる牝馬限定のハンデGIII
マーメイドS(11日=阪神芝内2000メートル)は例年、オープン馬だけでは頭数が揃わず、条件馬が加わって何とか2桁頭数を維持しているのが現状。重賞としての立ち位置は非常に微妙ながらも、案外アツい気持ちを持って、準備を進めてくる陣営が数多くいるのが何とも面白い。
例えば
マキシマムドパリの吉田助手は「個人的にはGIに出走させるぐらいの感覚。このレースにかけている」とまで言い切っているし、
キンショーユキヒメ、
ショウナンバーキンと2頭を登録させた中村調教師は「
JRAからも“オープン馬が少ないから使えますよ”と例年言われてるレースだから、早くから狙っていたんだ。ハンデ戦だから軽量で出られるのはもちろん、この時期は道悪にもなりやすいので、色気を持って臨める」。
要はA級馬が出てこない波乱含みのハンデ戦だからこそ、ガチンコ勝負では分が悪い馬たちにとって格好の標的になっているのだろう。
で、坂路野郎が今年、一番目をつけているのが
プリメラアスール。何せ鈴木孝調教師は「昨秋に準オープン(
ムーンライトH)で2着に来た時から、このレースを目標にしてきた」と豪語しているのだから…。
「直線が平坦で上がりが速くなる京都より、阪神が合う馬で、脚質的にもこの内回り2000メートルがベストなのは<1110>の実績が示す通り。
マーメイドSを目標に逆算して、中2週で使ってきたんだ」
この手の条件馬の場合はハンデが軽過ぎた場合に、予定していた鞍上が乗れなくなる恐れもあるのだが、それも見越して「51キロ以下なら酒井、52キロ以上なら和田と、腕のある2人の騎手を確保していた」と言うのだから、その用意周到さには頭が下がる。
近走内容がだらしないのはここでハンデを少しでも軽くしてもらう“エサ”だったわけではないだろうが…。昨秋の
エリザベス女王杯では14番人気ながら、逃げて5着と見せ場をつくったのは記憶に新しい。
「その後の
愛知杯(2番人気9着)はマークされてダメだったけど、最近の成績ならウチのが行ってもたぶん
ノーマーク。重賞を勝つとしたらここしかない」(鈴木孝調教師)
今年、最も激アツな思いを持って出走してくる
プリメラアスールを穴馬としてぜひ注目してほしい。
(栗東の坂路野郎・高岡功)
東京スポーツ