登録馬はわずか11頭。もともとフルゲートになることは少ないレースとはいえ、例年以上に寂しいエントリーとなった今年の
宝塚記念。上半期を締めくくる1着賞金1億5000万円のビッグレースなのに、なぜこれほど馬が集まらないのか? 出そうと思えば出せた馬が、自重した理由を聞けば、その要因が見えてくる。
「去年の
宝塚記念(13着)を使った後にガタッと疲れが出て、立て直すのに結構苦労したからな。梅雨時の競馬だから馬場が悪くなりがちだし、それでいて気温も高い。馬にとってはタフなレースになりやすいうえに、もともと、この馬自身も暑い時期は良くないんだよね」と話すのは、今春の
大阪杯で3着に好走した
ヤマカツエースを管理する池添兼調教師。
一方、
天皇賞・春で4着に善戦しながら、ここをパスした
アドマイヤデウスの梅田調教師は「やっぱり長丁場の天皇賞で目一杯走った馬ってのはそれなりに疲れが出るものだし、特に今年は時計も速かったから…。秋には
オーストラリア(
メルボルンC)に遠征することを考えるとね。まあ、
キタサンブラックという化け物が出てくることもあるんだけど」と説明した。
季節的に馬場が悪くなりがちで、なおかつ、気温も高い過酷なシチュエーション。しかも春天組は長距離戦を使った後の疲れも気になるし、この先の秋競馬を見据えると、施行時期そのものが微妙。さらには絶対王者になりつつある
キタサンブラックの存在…ザッと挙げればこんなところか。
逆に言えば、列記した悪条件に当てはまらない、もしくはプラスに転化できる馬がいれば、絶好の狙い馬になり得る。
「暑い時期に使うのは初めてだけど、かえっていいんじゃないかって思うんだよね」とは“紅一点”の参戦となる
ミッキークイーンの斉藤助手だ。
「牝馬なのもあって、寒い時期になるとすぐ冬毛が伸びる。でも今はすごく毛ヅヤがいいし、体も増えて絞るのに苦労するほどなんだ。1週前の動きも申し分なかったし、体調に関しては言うことなしですよ」
しかも重馬場で過去2戦2勝と道悪に高い適性があり、なおかつ前走の
ヴィクトリアマイル(7着)では「正直、敗因は分からないけど、レース後はすぐに息が入ったし、全く力を出し切った感がなかった」=“余力を残した競馬”になったのも、この
宝塚記念に向けた体力温存という観点からすれば、プラスに出る可能性が高い。
昨年8番人気で当レースを制した
マリアライトを筆頭に、牝馬は出走数こそ少ないものの、出れば高確率で馬券になることは過去のデータ(別表参照)からも証明済み。今年
キタサンブラックの一番のラ
イバルになるのは
ミッキークイーン…そんな気がしている坂路野郎である。
(栗東の坂路野郎・高岡功)
東京スポーツ