今週21日の水曜日は
宝塚記念(6月25日・阪神芝2200m)の最終追い切りを含めて、追い切りが集中したが、調教開始前から大粒の雨。前日夜中から降り始めていたが、雨量以上に時計の影響を与えたのが風。
調教開始時刻にはトラックコースの最後の直線が向かい風になっており「4コーナーで飛ばされるかと思ったくらい」と場合によっては、モロにその影響を受ける馬もいたくらい。追い切りを見ていても、明らかに向かい風で走りにくそうにしている馬もいて、これが時計の影響を与えたと思われる。
これは本来「馬場差」ではないが、基準時計よりも遅くなるという要素。今週に関しては、この影響を馬場差に組み込んでいることをご了承いただきたい。
【坂路/4F51.9秒】
21日。一番時計は2回目のハローが終了した時間帯に4F50.9秒をマークした
アイファーサラオー(栗東・
橋口慎介厩舎)。1F目13.0秒でスタートしたことがこの時計をマークした要因だと思われるが、最後もさほど失速しなかったところが好時計の要因。とはいえ、全体的には中間で飛ばすと最後は止まるラップになっているので、やはり時計を要する馬場であったことは間違いない。ちなみに坂路馬場は幅員が狭く、木々に囲まれているので、風の影響を大きく受けたということはない。
22日。この日は
CBC賞(7月2日・中京芝1200m)に向けた1週前追い切りを行った2頭の動きが目立った。
セカンドテーブル(栗東・崎山博樹厩舎)は
ストロベリーキングを追走する内容。スタート地点で4馬身ほど追走したので、追いつくのは難しいと思われた。しかし後半に入って、徐々に前との差を詰めると、一杯に追う相手に馬なりで並びかける。最後は楽々と先着して、時計は4F54.0〜3F38.9〜2F25.3〜1F12.3秒。この日も時計を要する馬場状態だったが、さすがは重賞ウイナーという動き。
2回目のハロー直前に単走で追い切ったのは、
ラインスピリット(栗東・松永昌博厩舎)。前半は少しゆったりと入っていったが、カーブを曲がったあたりの後半は手綱をしごきながらの走り。それに馬も応えて、しっかりと加速していきながらのゴール。時計は4F53.5〜3F37.8〜2F24.4〜1F12.5秒と全体時計の数字は遅くても、中身の濃い内容。前走
高松宮記念13着の惨敗だが、侮ることはできない。
先週の馬場差が「-0.1秒」。今週は一転して、雨の影響を受けた走りにくい馬場。よって馬場差は21日、22日とも『+1.0秒』で記録している。
【CW/5F66.5秒】
21日。朝一番、
キタサンブラック(栗東・
清水久詞厩舎)や
シャケトラ(栗東・角居勝彦厩舎)の追い切りを見て、ちょっと時計を要する馬場と状況かと思ったが、その後の下級条件の馬の追い切りを見ると、最近にないくらい時計が遅くなっている。
冒頭にも記したように、これは風の影響がすごく大きい。この日は2回目のハローが終了した時間帯からようやく風も穏やかになっているので、それ以前に追い切った馬についてはほとんど風で時計が遅くなったと判断してよい。
そんな中、時計は6F84.5秒と平凡だが、
パワーと精神力を感じる走りを見せた
サウンドテーブル(栗東・崎山博樹厩舎)。前に2頭を見る走りだったが、その差が大きかったので、こちらは内を回ると予測。しかし、4コーナーでは外を回って、最後は止まる前2頭を楽々と差し切っていった。この脚力は相当評価すべきだと思えるだけに、中京開催で出走予定ということなので、出てくれば狙い打ちたい。
22日。すっかり風は止み、ウッドチップにたっぷりと水分を含んだ状態。しかし最近、雨が降っていなかったこともあり、この湿りが程よい走り具合になっているようで、時計はかなり出る状態。ただ、2歳新馬の追い切りが多かったこともあり、全体的には速い数字が出ていないので、それを頭に入れた馬場差を記録した。
先週の馬場差は「-0.3秒」。21日は馬場というよりも風の影響を受けて時計を要する状態。馬場差は『+1.3秒』で記録。22日に関しては、先週よりも時計が出やすくなった印象すら受けるので「-0.5秒」で記録している。
【DP/5F64.5秒・D芝/5F63.0秒】
今週の芝馬場は雨の影響で追い切り多数。ただ21日に関しては、たっぷり水分を含んでいることもあり、かなり時計を要する状態。それに風の影響も加わっているので『+1.5秒』で記録した。22日は風の影響がないので『+0.5秒』で記録している。
さすがに今週のポリトラック馬場は追い切り頭数が50頭近かった。本来なら雨で走りやすい馬場なのだが、21日に関しては風の影響もあるので『-1.0秒』で馬場差を記録。22日は『-1.5秒』で記録している。
※調教馬場横の数字は基準時計。この数字以下の時計であれば、標準より速い時計と判断してよい。
(取材・写真:井内利彰)