「
宝塚記念・G1」(25日、阪神)
これが世界を斬った末脚だ。3番人気の
サトノクラウンが大外から力強く差し切り、国内G1初制覇を決めた。2着は5番人気の
ゴールドアクターで関東馬のワンツー。3着には4番人気の紅一点
ミッキークイーンが入った。なお、単勝1・4倍の断トツ人気を背負った
キタサンブラックは9着に惨敗。レース後、北島三郎オーナーは
凱旋門賞を断念することを表明した。
海外G1を制した末脚が仁川でもさく裂。“1強”ムードの
グランプリを3番人気
サトノクラウンが制した。
道中は
キタサンブラックを徹底マークした。「キタサンの後ろで心配ないと思った。何でもできる、みたいな感じだった」。殊勲のM・デムーロがしてやったりの表情で振り返る。絶好の位置取りに、しびれる手応え。脚の鈍ったG1・5勝馬を残り200メートルでかわし去ると、内で粘り込みを図る
ゴールドアクターを楽々と差し切った。
「さすがG1馬」。主戦が胸を張る。「
ハイランドリールが先日、
アスコットでG1(
プリンスオブウェールズS)を勝った。だから自信があった」。昨年の
香港ヴァーズで負かした馬の活躍を思えば、負けられない気持ちだった。「昨年は悲しかった。
凱旋門賞の夢がなくなったので」。昨年の
宝塚記念を最後に電撃引退した、同じ堀厩舎の
ドゥラメンテの雪辱を果たし、ホッとした表情をのぞかせた。
もう同じ轍(てつ)は踏まない。6着に敗れた
大阪杯は、馬の繊細さが災いして環境に対応できず、状態面に不安を残した。この日は馬体を減らした
大阪杯から10キロ戻しての出走。馬運車内の馬が収まるスペースを広げてもらい、輸送時のストレスを軽減。到着後は関東馬の出張馬房ではなく、比較的騒音の少ない関西馬の馬房に入厩した。1週前、同厩馬が遠征した際、シミュレーションしたという。堀師は「要望を聞いてもらい、いい状態で来られたのが大きい。結果が出てよかった」と笑みを浮かべた。
夢が広がる1勝を手にした。「どこでも行きたい」。主戦が世界戦をにらめば、「
サトノダイヤモンドが遠征するので、春の段階では今年は国内で、と予定していた。ただ、勝ったことで色んな選択肢が出てくると思う」とトレーナー。秋のプラン修正もありそうだ。世界を席巻した
モーリスに続け-。今後も快進撃は止まらない。
提供:デイリースポーツ