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ラジオNIKKEI賞(日曜=7月2日、福島芝1800メートル)美浦トレセン発秘話】上半期のGI最終戦・
宝塚記念を終え、今週から本格的な夏競馬がスタートする。福島への舞台替わりにフレッシュ感を覚えるのは当方だけではあるまい。“ガチ”もいいが、時には人生“遊び”も大事。ローカルで酒を飲める喜びに浸って言うわけではない。少し肩の力を抜いて競馬を見られるのが、ローカル開催の最大の良さではないかと感じる昨今だ。
さて、競馬における“遊び”といえば、サラブレッドの実力をあえて拮抗させる「ハンデ戦」。2歳戦を除くサマー重賞の約半数(17競走中8つ)がハンデ斤量で組まれているように、
JRAも「遊んでナンボの夏競馬」をアピールしている!? 今週の福島、中京が揃ってハンデ重賞から開幕するのもその象徴だろう。
「55キロかと思っていたけど、56は少し見込まれましたねぇ」
マイネルスフェーンの松本純輔助手が語ったように、関係者がより斤量に敏感になるのは3歳限定の福島・
ラジオNIKKEI賞。かつては「まだ底が割れない3歳馬にハンデは必要ない」など批判的な声も聞かれたが、2歳戦開幕が前倒しされ重賞も増えた今、違和感は少ない。むしろ別定でないがゆえ多彩な顔触れが揃った印象だ。
「53キロは随分と楽。ちょっとラッキーかな」
対照的に笑みを見せたのは
ロードリベラルの
尾形和幸調教師だ。今回と同舞台の昨年3回福島2日目(11月6日)・
きんもくせい特別は最後方から直線一気の差し切りV。「吉田(隼人)クンに“この馬で重賞に行きたい”と思わせた走り。休み明けの前走(
江の島特別=9着)はイレ込みがひどく惨敗したが、ここを目標にやってきたし、使ってガス抜きできていれば」と虎視眈々である。“ガチ”なら
京都新聞杯2着→
白百合S優勝の
サトノクロニクルの実績を評価すべきだが、こういう軽量馬を狙ってこそ“遊び”という気もする。
一方で「小回りで坂の緩い福島千八はこの馬のスピードを生かすにはもってこい。54キロも想定内だね」と伝えるのは
ニシノアップルパイの
中舘英二調教師。ジョッキー時代“ローカルの帝王”の異名を取った男の評価だから、こちらも適性は確かだろう。
「以前トモを痛めて調教を加減した時はまったく走らなかった。でも馬をやっとつかんだ気がする。ハードに攻めてこそ実戦で結果が出せるタイプなんだね」と指揮官。こちらの鞍上は
吉田豊。前の兄か後ろの弟か…。ともに極端な脚質が遊び心をくすぐるが、馬場、展開を見極めて「吉田兄弟」の取捨を決めようと思っている。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)
東京スポーツ