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東京しか知らないベストマッチョ 初の中京こそ最適の舞台だ!/トレセン発秘話

東京スポーツ
  • 2017年07月06日(木) 18時00分
 夏競馬は基本的にコース巧者を徹底して狙うのが得策だ。例えば先週開幕した福島開催。南相馬特別(芝2000メートル)を3馬身半差で完勝したヒメタチバナは、それまで当舞台を4走して(0・3・1・0)と堅実だったし、日曜12Rの500万下(ダート1150メートル)を制したタイセイラルーナも1000万5着を含め(1・0・2・1)と当コースを得意にしていた。むろん、9番人気でラジオNIKKEI賞(芝1800メートル)を3着したロードリベラル(きんもくせい特別で2歳500万勝ち)も同じことが言える。

 さて、その意味で当初懐疑的な見方をしたのが、ベストマッチョのGIIIプロキオンS参戦である。同馬はこれまでデビューから9戦がすべて東京コース。井の中の蛙と言っては失礼かもしれないが、大海知らずのお坊ちゃま的な側面があるのは否定できない。中京コースも初めてなら、輸送競馬も初めて。夏競馬のセオリーに則せば“消し”が正着という思いがあったのだが…。

「え!? 同じGIIIの根岸Sと比べたら、どう見ても条件は好転しているとオレは思うんだけどな」

 これは管理する手塚貴久調教師にその疑問をぶつけて返ってきた言葉。2番人気に支持された根岸Sは12着に完敗し、重賞の壁を味わったが、今度は違うと言わんばかりの口ぶりである。

「だってそうだろ? 当時は休み明けでキャリアも5戦、重賞も初挑戦だった。今回は経験を積んでの叩き3走目。チーク(ピーシーズ)やメンコを外して敏感にさせたほうが走ることが前走(麦秋S=1着)で分かったし、何より先行力が生きる中京がこの馬の脚質にフィットするんじゃないかと期待しているんだ」

 指揮官にそう言われてハッとした。確かに同馬の最大の武器は持続性あるスピード。これまで東京で結果を出してきたが、タイプ的には直線の長いコースより小回り向きである。過去4勝を挙げる左回りの千四、舞台が替わればさらにパフォーマンスを上げる可能性は確かにある。

「輸送は大丈夫かって? おいおい、これまで天栄と美浦を何往復したと思っているんだよ。全然問題ないし、接着装蹄の仕方を変えた前走から馬も随分と良くなってきたんだ」と手応えを語ったのは担当の滝口政司厩務員。先週のラジオNIKKEI賞を制した厩舎の勢いからも、“隠れ中京巧者”だったというオチを警戒したい。

(美浦の宴会野郎・山村隆司)

東京スポーツ

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