昨秋、JRAが海外主要レースの馬券発売をスタート。これまで海外競馬に縁のなかったファンも、馬券を買って観戦できることでその距離は近づきつつあるように思う。
では、海外の競馬ファンは日本の競馬をどのように見ているのだろうか。世界の競馬で日本馬が活躍することによって、興味を持つファンは増えているだろう。
ジャパンCを筆頭に日本の主要レースは海外で売られているし、インターネットの発達により、どこにいてもレースを見られる時代でもある。ただ、浸透しているかというと、そこは未知数だ。
そこでJRAは今年から新たな試みを開始した。その名は“Saddle up for Japan”。これは海外のビッグレースが行われる競馬場でブースを開設し、日本競馬をアピールしようというものだ。第1弾はフランスの
シャンティイ競馬場。イスパーン賞、ディアヌ賞(フランス
オークス)のレース当日に実施された。
ブースでは日本競馬紹介映像を流し、来場者には記念品(イスパーン賞はターフィーが描かれた小判型の団扇)を配布。競馬関係者には
ジャパンCのガイドブックが配られた。さらには、イスパーン賞をはじめ、当日に行われた計5競走の優勝馬関係者に対して副賞を贈呈するなど、日本競馬のアピールを行った。また、現地の日本国大使館やJNTO(日本政府観光局)等と協力し、日本食、日本酒の試食や書道など日本文化も紹介された。
JRA国際部国際企画室の松尾雅洋氏は「当初は競馬への誘引策をアジア地区で行っていましたが、中国では競馬が禁止されており、なかなか活路を見いだすことができませんでした。そこで、既に競馬が親しまれているヨーロッパでG1競走施行日に競馬場でプロモーションが実施できないか、駐在員事務所を通じて交渉を行ったところ、フランスおよびイギリスの両国とも快諾をいただきました」とイ
ベント開催の意図を説明。今後は
キングジョージ6世&クイーンエリザベスSが行われる29日の
アスコット競馬(英国)での実施が予定されている。
このイ
ベントで競馬関係者に配られたのは
ジャパンCのガイドブック。近年は質、量でひと息の外国馬。昨年は3頭のみで大物の参戦はなかった。そうした状況を打破するためのカンフル剤になればと思う。これをきっかけに日本の競馬を知り、
ジャパンCに出走させたいと思う関係者が出てくるかもしれないからだ。
大きなアド
バルーンを上げている訳ではない。活動内容としては地味で即効性はないかもしれない。ただ、何もないところからは何も生まれない。このような地道な活動の積み重ねによって大きな爆発が起こる可能性はある。日本競馬には魅力がある。それを世界に伝えるため、こうした試みは続けてほしいものだ。(デイリースポーツ・小林正明)
提供:デイリースポーツ