ここ10年で牝馬が7回優勝している
アイビスSD(GIII・新潟1000m)。今年は美浦の
佐藤吉勝厩舎の2頭の牝馬、
レジーナフォルテ(牝3)と
キープレイヤー(牝6)が面白そうだ。2頭について、岩本調教助手に話を聞いた。
「
レジーナフォルテは、スタートしてからムキになると終いが甘くなってしまうので、テンに息が入るかどうかが課題の馬です。前走(
さくらんぼ特別・1000万下・1着)は乗り役さんがうまく乗ってくれて、2番手からスムーズなレースができたことが終いの伸びにつながったと思います。放牧から戻ってきて気持ち太いかなと思っていたのですけど、成長分もあったのか、前走は思いのほか頑張ってくれました。
暑さもありましたし、前に行って一生懸命走ってくる馬なので、前走後はさすがに使った分の疲れはありましたが、厩舎でケアをして態勢は整いました。
今週(7/26)は、坂路1本登ってからウッドチップコースといういつものパターンで追い切りました。疲れもだいぶ取れて、十分走れる状態にあると思います。
この馬は飼い葉を1度食べ始めると、前を人が通るだけで耳を絞って邪魔しないでくれというような、気の強い馬なんです。その気の強さが競馬に行って良い方向に出ているようで、一生懸命走ってきてくれますし、千直の舞台にはピッタリの性格だと思います。相手は強くなりますが、3歳の牝馬で51キロという斤量を生かして、上位に絡めたら良いですね。
千直の2歳未勝利戦でかなり強い勝ち方をしましたので、去年の時点でここに挑戦したいという話は出ていました。前走結果を出してくれたので、出走が実現して良かったです。この馬にとって1番向いている舞台なので、力を発揮してほしいです。
キープレイヤーは、手塚厩舎からの転厩馬で、手塚厩舎のスタッフからもうるさい面があると聞いていました。ただ年齢がだいぶいってからウチに来たこともあり、実際に手掛けてみるとその印象よりも落ち着いていました。前走(
安芸S・1600万下・7着)も1400mでしたけど、落ち着いたことで融通がきくようになってきたのか、終いも脚を使っていました。
千直は意外とひと息ではいけないという話をジョッキーからは聞きますが、今のこの馬なら道中脚をためて終いの伸びにつながるのではないかなとも思います。これまで芝コースは走ったことはありませんが、未知の魅力と言いますか、かえってそれが良い方向に出てくれるのではないかと考えています。状態は変わらず良いですね。飼い葉もバリバリ食べますし、牝馬ですけど古馬になって体調が安定しています。
以前は坂路で強い時計を出すと歩様が乱れたりしていたようですが、年齢を重ねるにつれて反動が出なくなってきているので、ウチに来てからは坂路中心に調整をしています。今週(7/26)の追い切りでも、坂路で終い良い伸びをしていたので、この馬なりに仕上がっていると思います。
手塚厩舎時代に1000万条件を勝った時が、後ろから脚をためて終い差し切ったという内容だったので、できたらウチに来てからもそういうレースをしたいと馬主さんも希望されていたようですが、今なら抑えなくても出たなりでレースを進めて大丈夫だと乗ったジョッキーからは言ってもらっています。
今回は
レジーナフォルテが先行策で、
キープレイヤーの方が多分後ろの位置取りになるとは思うのですが、二段構えで良い方向に行ってほしいですね」
(取材・写真:佐々木祥恵)