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サトノダイヤモンドに大きな壁出現か 古馬を一蹴したエネイブルが凱旋門賞1番人気に

  • 2017年08月01日(火) 06時00分
 先週の土曜日にイギリスのアスコット競馬場で行われたキングジョージVI世&クイーンエリザベスS(芝2400メートル)を制したのは3歳牝馬のエネイブル。イギリスとアイルランドのオークスをともに圧勝し、同世代の牝馬の頂点に立っていた同馬が、今度はイギリスを代表するレースで古馬牡馬相手にも圧巻のパフォーマンスを示した。

 3カ国に渡りG1を6勝しているハイランドリールなどメンバーは強力だったが、2〜3番手でレースを進め、直線入り口で先頭に立ち、追い出されると後続を引き離す一方。今年のG1・エクリプスSを制したユリシーズに4馬身半の差をつけてゴール。これで6戦5勝(3着1回)、L.デットーリ騎手を鞍上に迎えてからはG1・3つを含む無傷の4連勝。

 古馬一線級を相手に見せた圧倒的パフォーマンスを受け、各種ブックメーカーは今年の凱旋門賞におけるエネイブルを1番人気の評価へと浮上させた。凱旋門賞挑戦を予定している日本馬・サトノダイヤモンドにとっては大きな壁が出現したことになる。サトノダイヤモンドは現在おおむね4〜5番人気。サトノダイヤモンドより高評価を受けているのはこのエネイブル、今年まだ出走がないがG1・3勝を含む5連勝中の4歳馬アルマンゾル、今年の仏2000ギニー・仏ダービーを制し二冠に輝いた7戦6勝・2着1回のブラムト。前述のハイランドリールサトノダイヤモンドと同程度のオッズで続いている。

 今回のキングジョージでは古馬牡馬とは約6kgの斤量差の恩恵があったエネイブルだが、凱旋門賞でも引き続き古馬牡馬との差は5kg(59.5kgに対して54.5kg)と条件的にも引き続き有利。圧倒的パフォーマンスに強力な鞍上、管理するのは名伯楽・J.ゴスデン師と死角は少ない。

 現時点での死角をあえて挙げるとすれば、持ち時計か。昨年の凱旋門賞はロンシャン競馬場の改修工事のため、(今年と同じ)シャンティ競馬場で開催され、勝ったファウンドのタイムは2:23.61とかなり早かった。一般的にはシャンティ競馬場自体、ロンシャンよりも早い時計が出やすい競馬場とされる。

 エネイブルの2400メートル(メートル式ではないレースもあり、10数メートル程度の誤差はある)の持ち時計は愛オークスの2:32.13が最高と、早いタイムの勝負を制したことはない。今年も凱旋門賞が昨年同様のスピード決着になるのであれば、この点では日本ダービー・2400メートルを2:24.0で走ったサトノダイヤモンドにアドバンテージがある。

 ただし、3歳で2011年の凱旋門賞を制した牝馬・デインドリームは、その時点で2400メートルのベストタイムが2:28.8とそこまで早い持ち時計ではなかったが、凱旋門賞(ロンシャン競馬場開催)でそれを一気に縮め2:24.49で圧勝したこともあり、持ち時計のなさは決定的な死角とは言えない。

 いずれにせよ、G1で5馬身・5馬身半・4馬身半とエネイブルがここまでに示してきたパフォーマンスは、凱旋門賞での圧倒的1番人気という評価が当然に思える異次元のもの。陣営も当然凱旋門賞を視野に入れているが、出走してくれば日本競馬界の悲願達成への大きな壁となってくるであろう天才少女が凱旋門への道に現れた。

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