1日に記者発表会が行われ、ついにベールを脱いだクラブ法人「DMMバヌーシー」。1万円から出資できるなどサービス内容の全貌も明らかになり、8月5日20時から専用アプリなどで、いよいよ募集をスタートする。ネット証券大手の「DMM.com証券」がなぜ競馬業界に参入したのか、「DMMバヌーシー」が目指す方向性など、仕掛け人であるDMM.comとDMMドリームクラブ社で取締役を務める野本巧氏に聞いた。
――1万円から良血馬が購入できるのは画期的ですね。
野本 本来はもっと価格を抑えたかったんですが、現状では1万円にせざるをえませんでした。来年以降はいろいろと改善できることがありますので、私が考えている価格に近づけることが可能なのではないかと考えています。最初の購入金額に馬の代金、育成費用、販売手数料、管理手数料、サービス運営に関わる費用を合わせた価格で購入していただきますので、それ以降の費用は一切かかりません。気軽に馬主感覚を味わえる、感動を共有できるというのが最大のウリです。ですので、既存の
一口馬主ユーザーを対象にしているわけではなく、これから競馬を始める人、競馬を知らない人が
メインターゲットです。もちろん、私たちの
コンセプトを理解していただければ、コアな競馬ファンの方々にも参加していただきたいですね。
――クラブとしての成功の指標をどこに置いているのでしょうか?
野本 ダービーなどのビッグレースを勝つということもひとつの目標ですが、一番重要なのは、多くの人に感動していただきたいということです。馬主の方々は金銭の損得ではなく、ロマンや夢を求めているからこそ続けているのだと思います。それだけ競馬に魅力があるわけで、そうでなければダービー当日に12万人以上の人が競馬場に訪れないですし、テレビなどで500万人以上の人が観ないですよね。競馬ファンだけでなく、競馬に興味がない方にも気軽に馬主の気分を味わえて、こんなに素晴らしく、アツくなれる競技があるんだと知ってもらいたいんです。
――1万口を満口にするのは難しいのではないかという声もあります。
野本 そこはもう受け入れていただけるかどうかの話ですので。ただ、私としては目一杯のことをしてきましたので悔いはありません。結果を待つだけです。
――「感動体験を共有できる」が
コンセプトですが、それを実現するために具体的に考えていらっしゃることはあるのですか?
野本 当歳を買っていただいて、その成長過程を動画で見ていただくのがいいかなと思っています。アーティストのライブにしても、ファンになってから、あるいは歌を聴いて好きになってからの時間があるからこそ、より感動できるわけですから。
――スゴい試みですよね。牧場から週4回の近況を動画で配信するのは並大抵のことではないと思うのですが。
野本 実際、それが一番苦労しています。何よりも牧場の方々に負担をかけてしまうのが一番申し訳ないですね。ただ、動画で近況をお届けできないと、我々の当初からの目的である「感動体験を共有できる」を実現できませんので、撮影は私が最も信頼している制作会社にお願いしています。対象者と信頼関係がないと当然、密着取材はできません。その点に関しては『情熱大陸』などを制作している会社ですので安心して任せられます。おかげさまで、牧場の方々には賛同していただいていますし、クレームがきたこともありません。撮影スタッフとの関係も良好ですよ。
――当歳からずっと週4回で動画を観ることができるわけですか?
野本 当歳は問題ないのですが、お母さんのほうに問題がありまして。離乳するまではお母さんとずっと一緒にいるわけですが、そのお母さんは毎年出産があります。その出産の2カ月前あたりから防疫の関係上、撮影するのが難しい期間があるんです。牧場の方々に無理強いするわけにもいきませんので、募集馬の中には撮影ができない期間がある場合はあります。
――1歳になって育成に入ってからも、この頻度で更新するわけですか?
野本 そうですね。育成やトレセンに入厩してからも3〜4回は更新したいと考えています。ちなみに現在はスタッフ1人に対して2頭担当、隔週で撮影に行ってもらっています。それを分割して配信するかたちになるので、時系列でいえば2週間ごとの近況になりますね。動画のほかにも、コメント機能付きのレースビュアー(グリーンチャンネルWebの会員登録が必要)がありますので、レースの時はみんなで盛り上がれますよ。
――最後に「DMMバヌーシー」として、競馬に対する思いを教えてください。
野本 我々のスタンスはいつでも「挑戦」です。これまでの競馬の楽しみ方とはまた違った、我々が提案する新しい楽しみ方で、もっと多くの人に競馬の魅力を知っていただきたい。競馬人口が増えることは「馬、ホースマン、ファン」にとってもプラスのはずです。そのために、固定観念をぶち壊したいと思っています。
「DMMバヌーシー」のご厚意により、募集馬1頭の命名権をいただきました! 当サイトで公募する予定ですので、詳細は命名できる募集馬などが決まった時点で告知いたします。
(文・写真:大薮喬介)