「キーンランドC・G3」(27日、札幌)
洋芝巧者が面目躍如だ。名手の手綱に導かれ、12番人気の
エポワスが、9歳にして重賞初制覇を成し遂げた。2番人気の
ソルヴェイグが2着、5番人気の
ナックビーナスが3着。また、このVで藤沢和師はJRA通算勝利数が1359に達し、歴代単独2位となった。
まさか、が現実となった。9歳馬
エポワスが、デビューから6年5カ月近くの長い旅路の末、ついに重賞タイトルをもぎ取った。
勝つ時は全てうまく運ぶ。前半は最後方からの追走。勝負圏外のようで、結果的に最高のポジションだった。他馬が勝ちを急いで早めに動いたため、狙ったコースがきれいにあく。逃げ粘る
ナックビーナス、外から伸びる
ソルヴェイグの間を割って歓喜のゴールに飛び込んだ。
ルメールは「おじいちゃんと一緒に走る気持ちで乗りました。前走より状態はすごく上がっていたね。ラスト150メートルでよく伸びた。今年も札幌で重賞を勝てて(昨年は
札幌記念を
ネオリアリズムでV)うれしい」と笑顔を振りまいた。
この勝利で藤沢和師はJRA1359勝に伸ばし、歴代単独2位に躍り出た(1位は現役中の89歳で死去した故尾形藤吉師の1670勝)。「長い間やってきたし、皆さんに応援してもらってきたから」と指揮官は笑みを浮かべる。そして、陰の立役者も忘れてはならない。ヘルパー厩務員の大館秀雄さんだ。
函館スプリントSで定年となったが、「もう1回、担当させてください」と申し出て、精魂込めて仕上げた。「何とも言えない気持ちです」と声を震わせ、目を少し潤ませた。
ようやく勲章を勝ち獲ったベテランホースの今後について、師は「年を取ってもやる気十分。洋芝向きなので
スプリンターズSは行きません。年内は使うとしても阪神C(12月23日・阪神)」と10歳でも現役続行すると明言。豊富なキャリアを武器に、元気にターフを駆け抜けていく。
提供:デイリースポーツ