「オジさんばかりのレースだと思っていました(笑)」
今年初出場の30〜40代の騎手たちがそう話した
ゴールデンジョッキーカップ(以下、GJC)。今年も
園田競馬場で通算2000勝以上の
JRA・
地方競馬の騎手12名が集結した。最年長は今日が61歳の誕生日となる
的場文男騎手(大井)、最年少は今年初出場の33歳、
吉原寛人騎手だった。今年は他にも初出場が
福永祐一騎手(
JRA)、
五十嵐冬樹騎手(北海道)、
下原理騎手(兵庫)の計4名で、「先輩たちとのレースを楽しみにしていました」と口々に抱負を語った。
1戦目の園田7R(ダート1230m)は3番手外から直線で馬場の真ん中に持ち出した
山口勲騎手が勝利。連対率全国トップの同騎手は「こういう舞台は慣れているので、どちらかといえば楽しんで乗る方だと思います」と話した。
2戦目は園田8R(ダート1400m)。逃げる的場騎手の約半馬身後ろを
赤岡修次騎手(高知)がピッタリとつける展開が4コーナーまで続いた。直線手前で赤岡騎手が並びかけ、そのまま抜け出すかに思えたが、内で的場騎手が渾身の粘り込み。61歳の鼓舞に騎乗馬
ディナミックも応え、ハナ差凌いで的場騎手が勝利した。この勝利で的場騎手は33年連続で年間100勝を達成。また同馬を管理する
保利良次調教師は騎手時代、的場騎手の同期だった。保利師は「61歳でまだ乗っているなんてスゴイわぁ〜。俺がいま乗ったら落ちてしまうわ(笑)。同期に乗ってもらって、勝って、表彰台。記念に残るし嬉しいね」とホクホク笑顔で語った。
迎えた最終戦・園田10Rはダート1700m。暫定トップの吉原騎手が好スタートを決めたが、最内枠でスタートを決めた的場騎手も譲らず2頭が引っ張る形に。ところが1周目の1コーナーで
田中学騎手がグンとまくって2番手までポジションを押し上げた。直線ではそのまま1番人気の田中騎手が抜け出し勝利。馬上ではお互いに「おめでとうございます」と言い合ったという的場騎手と田中騎手だが、最終的にGJCの優勝はわずか1ポイント差で田中騎手に決まった。
惜しくも
バースデー優勝とはならなかった的場騎手は2位、3位は赤岡騎手と山口騎手が同ポイントだったものの、3戦中の最先着順で山口騎手となった。GJC連覇で3回目の優勝となった田中騎手は「名誉です。しっかり体をケアしてまた来年、この舞台に立ちたいです」と冷静に語った。的場騎手は2位と聞き、「負けた?そっかぁ…しょうがない。(3戦目は)勝った馬が強かったよ」と振り返った。
全レース終了後には的場騎手の誕生日会を兼ねた懇親会が開かれた。サプ
ライズで大きな誕生日ケーキが運ばれてくると、
バースデーソングをみんなで歌っている途中でロウソクを吹き消し、あわやのテーク2。笑いに包まれながら戦いを終えた名手たちは和やかな雰囲気で健闘を称えあった。
(取材・写真:大恵陽子)