調教師によって“馬体の好み”はあるもので、多くの重賞ウイナーを育てた佐山優元調教師は、現役当時、屈指の巨漢馬として人気を集めた
ヒシアケボノに象徴される大型馬を好んで育てた。これとは対照的に
スプリンターズSに
フィドゥーシアを送り込む松元調教師は、特に牝馬はスラッとした体形を好む。
「やっぱり牝馬は腹が巻き上がっているくらいの方が走る。ウチで走った牝馬もだいたいがそんな感じだった。それと比べると
フィドゥーシアの前走(
セントウルS9着=480キロ)は、ちょっと体に余裕があった。470キロ台前半の馬体重の時に走っている馬だからな。今度は中山までの輸送で絞れてくれればいいんだけど」
松元調教師の“牝馬はスラッとした方が走る理論”からすれば、同じく
スプリンターズSに出走予定の
メラグラーナは対極に位置する存在だ。
セントウルS(4着)での馬体重532キロは、牡馬も含めた
スプリンターズS登録馬のうち、前走時の最重量にあたる。もっとも管理する
池添学調教師によれば、この馬体重が
メラグラーナにとっては理想的なのだそうだ。
「デビュー当初からこれぐらいの体があっていい馬だと思ってましたから。これまでは輸送で体が減ったりして、なかなか増えてこなかったけど、そういう意味では、あの体重で出られたのは精神的な成長かもしれません」
これまでの
JRA・GI最高馬体重勝利は1995年
スプリンターズS=
ヒシアケボノの560キロで、牝馬のそれは同年
エリザベス女王杯=
サクラキャンドル&2005年
天皇賞・秋=
ヘヴンリーロマンスが記録した510キロ。
メラグラーナが
スプリンターズSで見事Vを決めれば、牝馬のGI最高ウエート勝利記録更新となるが果たして!?
(栗東の坂路野郎・高岡功)
東京スポーツ