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ビッグアーサーを管理する
藤岡健一調教師
――調教は他の馬がいない時間帯に行われていますね。
藤岡 できるだけ他の馬の影響を受けない時間帯にやっています。
――今朝の追い切りはいかがでしたか?
藤岡 先週、一杯で行っているので、今週はもう少し楽に動くかなと思ったのですが、最後はちょっと時計がかかってしまいましたね。このひと追いでもっと良くなってくれると思います。
――この中間の調整は?
藤岡 一頓挫あったので、その調整遅れを取り戻すべく、頑張って走らせているんですけど。先週より時計は出ましたし、今週も動きは重かったのでしっかりとやりました。できれば
セントウルSを使いたかったです。その予定で栗東に戻してきたので、使えずに10か月あいてしまったのは誤算でした。
――左前の蹄の状態はどうでしょう?
藤岡 蹄はもう大丈夫です。2日ほど調教を落としましたが、その後は順調です。具体的に言うと、人間で言う踵の部分にちょっと圧迫があったので、装蹄を工夫しました。痛みが出なければどこが悪いというのはないですし、これについてはもう心配はないです。
――昨年の
スプリンターズSは12着でした。
藤岡 着順、悪かったですね。
セントウルSを勝って調子が上がってきて、このままいけば次も勝てるのでは?と思っていましたが、レースのアヤで直線が詰まってあのようになってしまいました。
――今年は昨年とはまったく違うローテーションとなりました。
藤岡 なかなか順調ではなかったので、調教でどれだけカバーできるか、という感じですね。
――この馬の魅力は?
藤岡 スピードの絶対値が高いですね。父は短距離で活躍した
サクラバクシンオー。産駒もみな、そういう傾向にあります。
ビッグアーサーも短距離に特化した体なので1200のスペシャリストとして育てています。胴が詰まって筋肉質で、いかにも短距離馬という体型ですが、それを生かした走りをしてくれます。
――もうひとつタイトルは欲しいところですよね。
藤岡 もちろんです。実力はみんなが認めてくれているところですし、私自身もこの馬が一番強いと思っています。いかに状態をいいところに持って行けるか、という点ですが、若干動き自体は物足りないところもあります。どれだけやれるか、この馬の地力に期待したいです。
――でも、
ビッグアーサーは休み明けの実績は高いですよね?
藤岡 休み明けは勝っていますから、そういう意味では心配ないんですけど。GIなので相手も厳しいですし、この馬が絶好調でいかないと勝てないと思います。
――短距離ならば条件を問わず成績を残していますね。
藤岡 この馬自身は馬場コースを問いません。雨でも気にしません。状態さえうまくいったら、と思っています。
――福永騎手とレースに向けて何か話をしましたか?
藤岡 話していませんし、これから話す予定もありません。乗っててよくわかっているし、実際にGIも勝っていますから。昨年の轍を踏まないようにということは彼が一番よくわかってくれていると思います。
――最後に抱負を。
藤岡 ちょっと順調さを欠きましたが、その分調教もきっちりやりました。GI馬としての実力を発揮してくれると思いますので、皆様の後押しをひとつよろしくお願いいたします。
(取材・写真:花岡貴子)