JRA勢では唯一ダート実績があり、1番人気に支持された
シャインカメリアがスタートで大きく出遅れたのは残念だった。そして地元ホッカイドウ勢が掲示板を独占。8月22日付のコラム『喜怒哀楽』の「
ダブルシャープの
クローバー賞勝利で」というタイトルで、久しぶりにホッカイドウ競馬所属馬が
JRA北海道開催で活躍した、というようなことを書いたが、ここでも世代レベルの高さを示す結果となった。
2歳牝馬の16頭立て、しかもところどころに水が浮く馬場状態ゆえ、中には能力を発揮しきれていない馬もいただろうが、それにしても半馬身差で1、2着を争った2頭の力強い走りが際立った。
地元道営勢4頭に
JRAジュンドリームと5頭で先行争いとなっての前半3F通過34秒9は、2歳馬のレースということを考えるとなかなかに厳しいペース。勝った
ストロングハートは、その先行争いから外めの4番手を追走。4コーナーあたりでは抜群の手応えのまま、先頭に立っていた
コスモウーノをとらえにかかると、そのまま直線で突き抜けた。
一方、2着だった
グラヴィオーラは、先行勢の直後、内めを追走。3〜4コーナーではコースロスなくそのまま内から位置取りを上げてきた。直線を向いて手応えは十分。残念だったのが、
コスモウーノと
ストロングハートが前で壁になり、一旦手綱を引いて外に切り替える場面があったこと。最後は
ストロングハートに半馬身差まで迫っただけに、前が壁になる場面がなかったらどうだっただろう。とはいえ、11番枠から内に進路をとった
グラヴィオーラに対し、9番枠から馬群に包まれることのない外めの好位をとった
ストロングハートの
阿部龍騎手を褒めるべきだろう。2頭の上り3F=37秒5というのも際立っていた。
4馬身差で3着に
リコーデリンジャーが入り、上位3着まで、8月31日に行われた同じ1200mのリリーCとまったく同じ決着。着差も、リリーCが3/4馬身、5馬身だったのが、今回が半馬身、4馬身と同じような決着。馬場状態がまったく異なるのでタイム比較は難しいが、勝ちタイムはさすがに今回のほうが1秒2も速かった。
それにしても、
角川秀樹厩舎、グランド牧場、
父サウスヴィグラスというチームの活躍は際立っていて、予想原稿にも書いたが、この組み合わせでの
エーデルワイス賞制覇は、2012年の
ハニーパイ、2015年の
タイニーダンサーに続いて3頭目。角川厩舎はこのレース5勝目となった。
サウスヴィグラス産駒ということでは、2着の
グラヴィオーラとワンツー。
サウスヴィグラスは今年21歳で、この2歳は11世代目の産駒となる。近年では、昨年
ジャパンダートダービーを制した
ヒガシウィルウィンに代表されるように2000m前後の距離での活躍馬も出てくるなど、ダート路線での産駒の活躍はとどまるところを知らない。
ダート路線でのグランド牧場生産馬の活躍もすばらしい。前述の
ヒガシウィルウィンもそうだが、少し前なら
ラブミーチャン、最近でも牝馬ながら
チャンピオンズCを制した
サンビスタ、さらに先日の
レディスプレリュードを8馬身差で圧勝した
クイーンマンボと、特に牝馬の活躍が目覚ましい。
ストロングハートは、
母ファーストレディ、母の
父スマートボーイ、祖
母ラストヒット、いずれもグランド牧場による生産・所有馬で、
ラブミーチャンのいとこにあたる。牧場で大事に育てられ、そして発展を続けている血統だ。