先週末からかなりの雨量が降っている栗東。18日こそ晴天だったが、19日は調教開始前から雨が降っており、ウッドチップ馬場は相当な水分を含んでいる。これを嫌って、芝馬場での追い切りを行った頭数も多いが、当然ながら芝も水分をたっぷりと含んでいる。追い切り頭数が多くなると、芝が掘れて傷むのは当然で、こちらも時計が出ない状態となっている。
気温に関しては、今週に入って、ぐんと冷え込んだ。馬にとっては過ごしやすい季節になってきたが、絞りたい馬にとっては、これから苦労することになりそう。
【坂路/4F51.9秒】
18日。一番時計は
アカツキジョー(栗東・
岡田稲男厩舎)の4F51.2秒。4F時計51秒台は10頭もおらず、時計が出ない馬場であることは間違いない。4F目のラップに関しても、12.1秒が最速で該当が3頭。先週末からの雨の影響をかなり受けているといってよい。
菊花賞(10月22日・京都芝3000m)は抽選になるが、出走叶えば面白そうな
スティッフェリオ(栗東・
音無秀孝厩舎)。
ダンビュライトとの併せ馬だったが、力のいる馬場もなんのその、まっすぐに駆け上がって、見た目には明らかにこちらが素晴らしい動きだった。なにより4F目が最速になる、きれいな加速ラップで駆け上がることができたことが、力強さを示しているといってよい。
19日。
コパノピエール(栗東・
宮徹厩舎)の4F51.8秒が一番時計。追い切り頭数が少なかったこともあるが、各馬の動きを見ていても、どうしても最後の1Fで脚が止まり気味になっており、これは馬場が大きく影響している。それだけに、どの馬も見た目の動きはあまり冴えない。追い切りで抜群に動く
アディラート(栗東・
須貝尚介厩舎)で2F24.4秒、1F12.1秒。この動きが素晴らしく見えたくらいだった。
先週の馬場差は「±0.0秒」。まず18日は雨は降っていないものの、それまでの水分蓄積があるため、時計を要する馬場だったことは明らか。よって、馬場差は『+0.5秒』とした。19日は調教開始前からの雨が影響。馬場差は『+1.0秒』で記録している。
【CW/5F66.5秒】
18日。先週末からの雨の影響で、追い切りを避ける厩舎も多く見られたが、実際の追い切りではさほど時計を要しているわけではない。特定の馬に限らず、2歳新馬などキャリアの浅い馬でもある程度の時計は出ている。
とはいえ、その中でも特筆すべきは
アドマイヤウイナー(栗東・
須貝尚介厩舎)。1回目のハローが終了して、開場直後の追い切りが集中した時間帯から少しずれた頃に同厩舎が5頭で入場。どの馬との併せ馬なのかなと思ったが、3コーナーからぐんぐんと加速していき、最後の直線は完全に1頭での走り。
テンを飛ばしただけに最後は止まるだろうと思いきや、そのスピードを持続してゴール。5F62.8秒はこの日の追い切りで抜けた一番時計。状態に関しては素晴らしいのではないだろうか。
19日。前日から一転して、雨の影響が大きく出た。2歳ともなれば、6F86秒が当たり前。全体時計が遅いにも関わらず、最後の1Fが13秒後半から14秒と止まるような馬が多く見られた。
2回目のハローが明けた時間帯に追い切ったのが、
菊花賞の抽選組、
ダノンディスタンス(栗東・
佐々木晶三厩舎)。
アルマシャールとの併せ馬で先行していたが、テンからある程度のスピードでラップを踏んだにも関わらず、最後までしっかり我慢。ノメッていたこともあり、見た目の動きはさほどだったが、時計は6F81.9〜5F67.3〜4F53.2〜3F39.6〜1F12.7秒。馬場状態を考えれば、よく動いている。
先週の馬場差は「±0.0秒」。今週は雨の影響はあったはずだが、18日は雨が降っていないということもあり、全体的な時計を見ても、あまり馬場に影響なかったと判断してよい。よって、馬場差は『±0.0秒』で記録している。19日に関しては、明らかに雨の影響があるので、馬場差は『+1.0秒』で記録した。
【DP/5F64.5秒・D芝/5F63.0秒】
今週の芝馬場は18日、19日ともに盛況。これだけ追い切れば、当然馬場も悪くなるだろうなと思っていたが、その影響が明らかに出たのが19日。芝生が掘れて、走りやすい場所はなく、当然ながら馬場も緩い。かなり時計を要する馬場だったといってよいだろう。18日も通常時よりは水分を含んで走りにくかったので『+1.0秒』、19日は前日に馬場を使用していることで悪化している上、雨の影響もあったので『+2.4秒』で記録している。
こんな時こそポリトラック馬場、と思うが、やはり追い切り頭数は少ない。馬場差は18日、19日とも『-1.0秒』で記録している。
※調教馬場横の数字は基準時計。この数字以下の時計であれば、標準より速い時計と判断してよい。
(取材・写真:井内利彰)