「
天皇賞(秋)・G1」(29日、東京)
残り3戦無敗での有終へ-。まずは始動戦に向けての準備は整った。年内引退&種牡馬入りが発表された
キタサンブラックの最終リハは25日、栗東CWでの併せ馬。終始馬なりで、手応えに余裕を残したまま併入を決めた。普段よりも軽めの内容で終えたが、いつもより2週間早く帰厩して丹念に乗り込んでおり、問題はなし。V発進を決め、上半期は果たせなかったG1・3連勝に弾みをつける。
ラストシーズン初戦を前にしても、変わることがない光景がそこにはあった。
キタサンブラックの最終デモは、黒岩(レースは
武豊)を背に栗東CWで
ヒシコスマー(2歳新馬)と併せ馬。2馬身半後方から発進すると、直線は持ったままで差を詰める。ゴール板手前で測ったように前をとらえ、6F84秒1-39秒8-13秒1で併入に持ち込んだ。
鞍上は「相手が動かな過ぎて(時計が)遅くなったけど、雰囲気は悪くないです。キャンターにおろす時もグッとハミを取り、戦闘モードに入っています」と好気配を伝える。清水久師も「先週までに速い時計を出しているので、きょうは確かめる程度。良かったですね」と納得の表情を浮かべた。
実は今回、
武豊騎乗で最終追い切りを行うプランもあった。調教に騎乗すれば今春の
大阪杯2週前追い切り以来だったが、主戦は「“もう馬はできているし、いい”ってことだった。いまさら変わったことをするより、慣れている人が乗った方がいい」と通常パターンを貫いた。年内引退を発表した大事なシーズン初戦だが、今になって特別なことをする必要はない。
一方で、準備には十分な時間を割いてきた。トレーナーは「2週間ほど早めに(栗東に)戻しました。変則開催も続いていたし、あとで慌てて後悔することがないようにですね」と説明する。この日で栗東CWでの追い切りは長短合わせて10本目、うち9本が併せ馬だ。「格式ある競走。たたき台のつもりはない。初戦から力が出せるように仕上げた」と言い切った。
宝塚記念で9着に敗れたが、昨年の
年度代表馬として、そして現役屈指のスターホースとして巻き返しが期待される。この後は
ジャパンC、
有馬記念と古馬の王道を歩む予定。「惜しまれる形で3戦を終えたいし、いいスタートを切りたい」と指揮官は力を込める。
テイエムオペラオーに続く史上2頭目の天皇賞V3など、さまざまな記録が懸かる一戦。日本競馬史にその名を刻み込む勝利で、ラストシーズンの好発進を決める。
提供:デイリースポーツ