第156回
天皇賞(秋)を制した
キタサンブラックは無事栗東トレセンに帰厩した。台風22号の影響で輸送時のトラブルも心配されたが、担当の辻田厩務員が「特に渋滞もなくスムーズに帰ってこれました」というとおり、通常どおりの行程だったそうだ。
一夜明け、馬房ではいつもどおり元気そうな姿を見せていた。
清水久詞調教師は愛馬の状態を確認し、昨日のレースを振り返った。
スタートではまさかの出遅れ。
「そりゃ、びっくりしましたよ。でも競馬にアク
シデントはつきものですからね。すぐに気持ちを切り替えました」
その後、道中はあえて荒れた内を選ぶなど
武豊騎手の見事な手綱さばきで先団に取りついた。
「さすが天才ですね。一瞬にして前に取りついたあのコーナーリング…やっぱりあの人しかできないというか。びっくりしましたね。あれ?という間に二列目にいましたからね。本当に凄いですわ」
ゴールした瞬間は「感激しました」と指揮官。そう言いながら、溢れんばかりの笑顔をみせた。
この後は予定どおり、
ジャパンカップ、
有馬記念に挑む。
「この後はもう放牧に出すことなく在厩のまま調整します。あと二戦、頑張ります」
(取材・写真:花岡貴子)