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得意の末脚で格の違いを見せたサウンドトゥルー/JBCクラシック回顧(斎藤修)

  • 2017年11月04日(土) 19時45分
 コパノリッキー不在となって、確たる逃げ馬が不在というメンバー。内枠もあって逃げることになったオールブラッシュのペースは、最初の3Fが36秒7で、1000m通過が62秒1というゆったりしたペース。2番手が大井のサブノクロヒョウで、やや離れた3番手にアウォーディーミツバ。逃げるかとも思われたケイティブレイブはそのうしろ。向正面に入ったあたりでサウンドトゥルーは、中央7頭の中では最後方、先頭からは10馬身ほども離れた位置からレースを進めた。

 ケイティブレイブは、出遅れた帝王賞で直線一気に差し切ったように、今回も直線での追い比べに賭けたのだろう。4コーナーで好位にとりつき、直線、測ったように差し切ったまでは正攻法の完璧な競馬。しかしそれを上回る直線での末脚を発揮したのがサウンドトゥルーだった。

 勝ちタイムが2分4秒5で、前半は前述のとおり62秒1で、後半が62秒4と、前後半がほとんど同じタイム。それを演出したのは、勝ったサウンドトゥルーで、レースの上りが37秒8のところ、サウンドトゥルーはメンバー中最速の37秒0で前をまとめて差し切った。好位抜け出しのケイティブレイブですら37秒6だから、サウンドトゥルーが直線で使った脚がいかに際立っていたかは、その数字を見てもわかる。

 ちなみにサウンドトゥルーが勝った一昨年の東京大賞典のタイムを見ると、勝ちタイムが2分3秒0のところ、前半が61秒3、後半が61秒7と、やはり前後半のタイムがほぼ同じ。このとき逃げたのはコパノリッキーで、直線失速して4着。レースの上りが37秒8のところ、サウンドトゥルーの上りは36秒7で、今回と同じようにレースの上りより1秒近く速い上りをマークしていた。これこそがサウンドトゥルーの勝ちパターンで、それはレースぶりを見てもわかるとおり。とはいえ、そういう流れになるかどうかをレース前に予想するのは難しい。

 それにしても一昨年の日本テレビ盃以降、常に一線級とのレースを続けてきて、惨敗といえるレースがほとんどない安定したレースぶりはたいしたもの。今年のフェブラリーSでも、着順こそ8着だったが、勝ったゴールドドリームからコンマ6秒差だった。

 サウンドトゥルーの前走、日本テレビ盃が休み明けの仕上がり途上であのレースなら、今回さらに上積みがあればということは十分に考えられた。大野拓弥騎手のレース後の話にもあったように、寒くなるこれからの時期に調子を上げてくるとのことだ。

 ミツバが好位追走から強気に攻めて接戦の3着に粘った一方で、アウォーディーは直線失速して4着。休み明けのぶんはあっただろうが、昨年のJBCクラシック以降勝ち星がなく、連戦連勝のときのような勢いがないのは気になるところ。

 2番人気に期待されたアポロケンタッキーだが、中団を追走して向正面から追い通し。まったくレースに参加できなかったのは状態に問題があったということか。

 GI/JpnI馬5頭といっても、ここまでサウンドトゥルーが2勝で、それ以外の4頭は1勝のみ。着差はわずかだったが、差し切ってのゴール前は余裕があり、うまく流れに乗って格の違いを見せた。

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