「チャンピオンズC・G1」(3日、中京)
名手ムーアに導かれた
フェブラリーSの覇者
ゴールドドリームが、豪快に差し切って史上3頭目となる同一年のJRAダートG1・2勝を果たした。ムーアは2日の
ステイヤーズS(
アルバート)に続き2日連続での重賞V。G1は、16年の
天皇賞・秋(
モーリス)以来、今年初、通算7勝目。1番人気の
テイエムジンソクが2着、9番人気の
コパノリッキーが3着に入った。連覇を狙った2番人気の
サウンドトゥルーは11着だった。
最後の直線で叩き合う前の2頭。その争いをあざ笑うかのように、名手ムーアに導かれた
ゴールドドリームが大外を一気に伸びて差し切った。今春の
フェブラリーS覇者が8番人気という戦前の低評価に猛反発。00年
ウイングアロー、11年
トランセンドに続く、史上3頭目の同一年JRAダートG1V2を成し遂げた。
課題だったゲートはわずかに遅れたものの、盛り返すように仕掛けて道中は中団よりやや後方のポジションへ。ペース的には完全に先行馬が支配していたが、それでもねじ伏せるようにグイグイと脚を伸ばし、抜け出しを図る
テイエムジンソクを首差とらえた。
「スタートは彼なりに出てくれました。レース前の感触が良く、自信がありましたからリズムを守って大事に乗った。だから最後にいい脚を使ってくれた」と話したムーアは、土曜の
ステイヤーズSに続くお立ち台。素直に馬の力を信じたからこその美酒だ。
結果的には能力の高さを見せつけてのG1・2勝目だが、その裏には陣営の苦労があった。前走の
南部杯では、あおるように大きく立ち遅れて5着。ゲート難を克服するべく、この秋は練習を繰り返した。
平田師は「5日ほどゲートで縛り付けました。G1ゼッケンを付けている馬にそれをするのは勇気がいりましたが、2日目からはゲートの中で駐立ができました」と振り返る。「距離の壁がと思うところもあったので、今回も絶対の自信は持てませんでした。うれしいですが、ホッとした気持ちが強い」。課題を完全にクリアできたわけではないものの、最上の結果には安堵(あんど)の笑みが浮かんだ。
鮮やかな復活劇でダートチャンプの座を取り戻した4歳馬に、「昨年と同じローテで次走は
フェブラリーS(2月18日・東京)を考えています」と師は次の
ターゲットを絞った。桶狭間で輝きを取り戻した「金の夢」は絶対王者を目指し、ダート界をけん引していく。
提供:デイリースポーツ