阪神JFは近年、西高東低を感じさせない稀有なGIである。14年
ショウナンアデラに始まり、15年
メジャーエンブレム、16年
ソウルスターリングと関東馬が3年連続のV。いずれも美浦から直前入厩で結果を出していることが、輸送対策のスキルアップを印象付ける。今年登録のある6頭もすべて美浦での調整を決断。関東記者としては当然“V4”を期待したいところだ。
「姉
キャットコインもフットワークが柔らかくいい馬と思ったが、妹はそれに
パワーもついた感じ。ただ、音に敏感だったりスイッチの入りやすい気性も似ている。そこに気を一番使って調整しています」
こう語るのは新馬→
札幌2歳Sと2連勝中の
ロックディスタウンを担当する佐竹貴史助手。酒席で初めて会った3年前は“チャラ男”にしか思えなかったが、環境や経験が人を成長させるのだろう。すっかりたくましさを増した当人だが、肝心な馬のほうはどうなのか。
「わずか3か月でガラリはないですが、トモに幅が出たし、精神面も徐々に成長してくれています。新潟や札幌で輸送を経験していても阪神は初めてだし、ストレスがかからないようにケアしてレースに臨みたい」
鞍上は2年連続で当レースを制している
クリストフ・ルメール。
札幌2歳S後に「新馬(新潟)の時のほうが走りは良かった。広いコースのほうがもっと走りそう」と口にした名手の感触が本物なら、阪神外回りでギアを上げる可能性は十分だろう。
そしてもう一頭、当方が注目する関東馬が13年
桜花賞馬=
アユサンの全妹
マウレアである。こちらは中2週での輸送競馬。条件的には厳しく映るが、姉も手がけたベテラン森信次郎厩務員から“泣き”は聞こえてこない。
「前走は窮屈な位置で軽い外傷こそあったが、心身はほとんどノーダメージ。気が強くて姉のような品はないけど、シンのしっかりした馬だよね。使うごとに背中の脂肪も取れてきたし、輸送して440キロ台ならOKかな。これまではスローの競馬しか経験がないけど、速い流れのほうがレースはしやすいはず。そういえば、
アユサンは初の右回りだった阪神JF(7着)で、外に膨れてコーナーを回れなかったな(笑い)。それさえなければ差はないと思うんだけど」
仕上げの技術は手塚厩舎にあって屈指だし、鞍上は4年前
レッドリヴェールでV、昨年
リスグラシューで2着の
戸崎圭太。騎手的には昨年同様のワンツーがあって不思議なし。さあ、今年も関東馬の健闘を祈ろう。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)
東京スポーツ