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小回りに対応できずも次元の違う強さを見せたルヴァンスレーヴ/全日本2歳優駿回顧(斎藤修)

  • 2017年12月14日(木) 18時00分
 まだ底を見せていない馬が中央・地方それぞれに何頭もいるというメンバーが揃った中で、単勝1.8倍という圧倒的な人気に違わぬパフォーマンスを見せたのがルヴァンスレーヴだった。

 ルヴァンスレーヴは今回もスタートで出負けして最後方から。大外からじわじわと位置取りを上げていくというレースぶりは新潟ダート1800mの新馬戦とほとんど同じ。ただ新馬戦では向正面で一気に先頭に立っていたのが、さすがに今回はペースも相手の能力も格段に上がっていて、向正面までは流れに乗っていただけ。しかし3、4コーナーで外からまくっていったときの脚は際立っていた。それが、レースの上り3Fが39秒5に対して、ルヴァンスレーヴの38秒2というタイムに現れている。最後はドンフォルティスに1馬身まで差を詰められたが、直線半ばで先頭に立ってからは軽くしか追われておらず、着差以上の楽勝だった。

 それにしてもルヴァンスレーヴの、2歳馬らしいというか、破天荒というか、そのレースぶりは強さを際立たせた。出遅れもそうだが、直線を向いて手前を替えようとして一度はうまくいかず、それで内に刺さったところをデムーロ騎手が修正。あらためて手前を替えたところでもう一度内に刺さって、そのあとようやく普通に走って手綱を緩めた。おそらく初めての小回りコースに対応できていなかったのだろう。

 川崎コースを初めて走るような2歳馬ではたびたびあることで、強い馬でも普通に強い馬ならそれで負けてしまうところだが、ルヴァンスレーヴはそうしたことも関係ないほどに力が抜けていた。さらにデムーロ騎手がうまく対応したことで、ロスを最小限にとどめることができた。今後ルヴァンスレーヴは、そうした幼い面が解消され、広くて直線が長いコースなら、さらに強いレースを見せてくれるようになるだろう。

 2着のドンフォルティスは、3コーナーで武豊騎手が手綱を引いて立ち上がる大きな不利があって審議となった。パトロールビデオを見たところ、3コーナーを回るところで内にいたリコーワルサーに外に振られ、外から伸びてきていたビッグスモーキーとの間に挟まるような形で進路が狭くなった。3頭ともに勢いがあって進路を取りに行っての結果だけに仕方なかったようにも思える。仮にそれがなかったにしても、ルヴァンスレーヴのゴール前はかなり余裕があったので、逆転までは難しかっただろう。

 ドンフォルティスから3馬身離れて4頭の3着争いを制したのは船橋のハセノパイロで、中央勢の上位争いに食い込んだ。予想でハイセイコー記念のパフォーマンスを評価したが、そのとおりの結果となった。例年であれば3着争いの馬たちは勝っていてもおかしくないようなレベルにあり、特にハセノパイロの陣営は自信を持って臨んでいたようだ。産まれた年が悪かったとしか言いようがない。

 兵庫ジュニアグランプリまで3連勝で2番人気に支持されたハヤブサマカオーは10着に沈んだ。逃げるかとも思われたが、サザンヴィグラスが外から譲らぬ構えでハナを取りに来たのでその2番手から。逃げたサザンヴィグラスは気合を入れて勢いがつきすぎてしまい、最初の3Fが36秒4はいかにも速かった。ハヤブサマカオーはそのペースについていったということもあっただろうし、園田で意外な苦戦を強いられたように地方の重い馬場ということもあっただろう。さらにデビュー戦でダート1700mを勝っているとはいえ、距離延長もプラスとは思えない。それらいくつもの要因が重なり、能力を発揮できなかったものと思われる。ハヤブサマカオーは、ダートでも条件が違うところであらためての期待となろう。

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