シュヴァルグランを
ジャパンカップ優勝に導いたボウマン騎手の共同インタビュー、読んでいただけましたか?とても凛とした印象の方でしたね。
そして、友道師がボウマン騎手に全幅の信頼を置いていらっしゃるのがよくわかりました。
「ボウマン騎手は馬にやる気を起こさせ、かつ馬をコントロールしています。瞬発力も出てきているし、一瞬の脚も使えるようになっているね」
もちろん、これまでより走れる身体になったタイミングにボウマン騎手と出会い、結果に繋がったというラッキーもあると思います。ともあれ、
シュヴァルグランを通して、馬のメンタルのコントロールの重要性を改めて学んでいます。
メンタルが充実しているなら、気になるのはやはりフィジカル。「状態はすこぶるいい」と調教パートナーの大江助手も誉めており、調子がいいのは間違いないのですが。
シュヴァルグランといえばかねてから馬体重のコントロールが課題とされていますね。
「食べた分、しっかり身につくタイプ」(津田助手)
というのは体質的なもので、これは一生付き合っていくしかない。これは人間も一緒ですよね…。
でも、食欲と摂取量をすべて自分でコントロールしなければならない人間と違い、馬は摂取量については人間側、つまり厩舎サイドがコントロールしてくれます。
改めて、
シュヴァルグランの昨年と今年の
ジャパンカップ、
有馬記念の馬体重の推移をみてみましょう。
昨年の
ジャパンカップの調教後の馬体重は492キロ、レースは482キロ。昨年の
有馬記念の調教後の馬体重は486キロ、レースが484キロ。
今年の
ジャパンカップの調教後の馬体重は478キロ、レースが470キロ。今年の
有馬記念の調教後の馬体重は478キロ。
いずれも栗東トレセンから関東への輸送となるので、馬体重は減らしていますね。馬はウンチやおしっこをすれば数キロ重さが変わるので、一概にこの数字を見るだけでは昨年の
有馬記念の体重のヘリが少ないとは言えません。
しかし、
シュヴァルグランは昨年の
有馬記念のとき、中山の出張馬房で食欲旺盛なあまり寝ワラを食べてしまっていたのです。友道厩舎の馬房ではチップを敷いていますが、中山の出張馬房は通常チップを敷けないとされているので寝ワラなんです。そして、この減りの少なさはその影響もあるのでは?とみられています。
その対策として、陣営は「今回は口かごを持っていく」(津田助手)そうです。口かごはその名のとおり、馬の口にふたをするようなバスケット型のものをつけます。口がふさがっているので、間食はできない、という仕組みです。
「でも、
シュヴァルグランの精神状態のほうが大事。口かごを
シュヴァルグランが嫌がるようなら、つけないかもしれませんね」(津田助手)
シュヴァルグランの場合、体調がよくないと食欲も減退するそうなので食べることはいいことなのですが…。“食べすぎ”てあとで泣くのは人間も一緒ですね。命運は
シュヴァルグランの食欲とご機嫌次第、といったところでしょうか。
(取材・写真:花岡貴子)