2月22日の栗東市の日の出時刻は6時34分。まだまだ寒さの厳しい日々だが、調教開始前に明るくなることで、少しずつ春に近づいている。実際、調教開始前の気温は-1℃でも日中は10℃以上に気温は上昇。そろそろ人も馬も動きやすい季節になってくるのではないだろうか。
【坂路/4F51.9秒】
21日。一番時計の常連、
ネロ(栗東・
森秀行厩舎)が4F48.6秒で文句なしの一番時計。これに続いたのが、4F49秒台が3頭、4F50秒台が4頭という感じ。4F51秒台前半の頭数は少なかったが、上位の時計がこれだけ速いと走りやすい馬場状態だったと判断するしかないだろう。
こんな時こそ、全体時計は遅いが、中身あるラップを踏んでいる馬を評価したいところ。
阪急杯(2月25日・阪神芝1400m)を予定している
シュウジ(栗東・
須貝尚介厩舎)はそれにあたるような気がする。前に馬を置いて、最後の2Fでそれを追い抜いていく形。前半我慢を利かせて、終いは11.9秒の伸び。道中でしっかり脚をためているように見えたし、初コンビとなる
福永祐一騎手との相性の良さを感じる動きだった。
22日。一番時計は
テーオーヘリオス(栗東・
梅田智之厩舎)の4F50.9秒。この日の上位時計は前日に比べると数字が遅くなっているが、これは全体的な追い切り頭数が少なかったことが影響しているだけ。馬場状態としてはほぼ変わりないといってよいだろう。
先週15日の馬場差は「-0.5秒」。今週は一番時計から上位10頭くらいが、ここ最近にはないくらいに速い数字。やればいくらでも出るといった馬場状態だけに、さすがに先週よりも時計が出る馬場と考えた方がよい。よって、今週の馬場差は21日、22日ともに『-1.0秒』で記録している。
【CW/5F66.5秒】
21日。朝一番の開門直後は先週と比べると時計を要する印象もあったが、時間の経過とともに走りやすい馬場へと変化していった印象。とはいっても、先週よりは時計を要する馬場で基準時計よりは速いといった馬場。
このくらいの馬場になると、動きの良し悪しが分かりやすいが、素晴らしい動きを見せた1頭に
エンプレス杯(2月28日・川崎ダート2100m)の出走を予定している
アンジュデジール(栗東・
昆貢厩舎)を指名しておきたい。
キタサンコンサートを追いかける形だったが、道中の行きっぷりは素晴らしい。しかし、スピードが出すぎて、引っかかりそうになるくらいだったが、そこは騎乗していた
西谷誠騎手(レースは
横山典弘騎手)がしっかりと抑えて脚をためる。
4コーナーは外を回ったが、前に並びかけるまで持ったままの手応え。最後はきっちり交わせて先着のゴール。その時計は6F81.1〜5F65.5〜4F51.3〜3F38.1〜1F12.5秒と全体も終いもしっかりと速い。前走は中団から4コーナー番手で前を捕まえ切ることができなかったが、この動きを見せられると勝つシーンを期待したくなってしまう。
22日。馬場状態は前日と変わりなし。朝一番には
スワーヴリチャード(栗東・
庄野靖志厩舎)が
金鯱賞(3月11日・中京芝2000m)の2週前追い切り。同厩舎の2頭を前に見て、追走する形だったが、最後は外を回りながら楽々と交わして先着。時計は6F81.8〜5F66.8〜4F52.0〜3F37.5〜1F11.9秒ときっちり負荷をかけられている。
先週15日の馬場差は「-1.5秒」。これと比べれば、今週の馬場は時計が出ていない。しかし基準時計よりは速い馬場なので、今週は21日、22日とも『-0.9秒』で馬場差を記録している。
【DP/5F64.5秒・D芝/5F63.0秒】
今週の芝馬場は21日に加用正厩舎の併せ馬と
宮徹厩舎の単走と併せ馬の都合3組が追い切り。芝としてはかなり傷んでいるように見えるが、追い切りに使用するにあたっては適度なクッションなのかも知れない。今週の馬場差は21日、22日とも『±0.0秒』としている。
ポリトラック馬場の追い切り頭数は先週同様、10頭を少し超えるくらいの頭数に落ち着いてきた。中1週で小倉競馬場まで再度遠征する組など、あまり負荷をかけたくない馬の追い切りが多い。よって時計は出ていないが、これは意図されたもので、馬場状態はこれまでと変わらない。よって、21日、22日とも『-1.0秒』で馬場差を記録している。
※調教馬場横の数字は基準時計。この数字以下の時計であれば、標準より速い時計と判断してよい。
(取材・文:井内利彰)