先週末は引退調教師の
JRA最後のレースということで盛り上がったが、調教に関しては2月28日まで行われている。そして、3月1日からそれぞれの管理馬が各厩舎へと移動して、今週末から新厩舎でのレースを迎えるということになる。よって、引退厩舎の多くが今週の追い切りを前厩舎のスタッフで済ませるケースが目立った。
天候に関しては、2月28日は好天。3月1日は前夜に土砂降り、調教開始時刻には突風が吹き荒れる悪天候。これは天気予報通りだったこともあり、前日に追い切りを済ませている厩舎も多く、1日に追い切った厩舎はこれを織り込み済みといった感じだった。
【坂路/4F51.9秒】
28日。一番時計は先週に引き続いて
ネロ(栗東・
森秀行厩舎)。4F49.2秒は先週よりも少し遅くなっているが、このレベルの数字になればあまり大きな差はない。4F50秒台の頭数は4頭だったが、4F51秒台の頭数は先週同様に多い。
3歳牝馬の
レッドシャーロット(栗東・
庄野靖志厩舎)は朝一番の時間帯とはいえ、4F51.9秒と全体が速い上、2F23.7秒、1F11.8秒。後半2Fを11秒台の加速ラップでまとめており、馬の状態が良いことに加えて、走りやすい馬場状態が好時計を
アシストしたといってよいだろう。
1日。馬場状態は間違いなく、前夜の雨で大量の水分を含んでいる。ただし、これで時計が遅くなったかどうかは、追い切り頭数が少ないこともあって判断が難しい。一番時計は4F50.9秒の
ココファンタジア(栗東・
友道康夫厩舎)。藤岡康太騎手が跨っていたとはいえ、軽快なスピードで駆け上がっており、特に走りにくそうな印象もない。
28日と1日ではウッドチップの含水量がかなり違うと思われるが、実際に追い切りを見ていると、さほど変化はないと判断した。先週の馬場差は「-1.0秒」だったので、今週もほぼ同じと判断し、28日も1日も先週と同じ『-1.0秒』で馬場差を記録している。
【CW/5F66.0秒】
すごく走りやすい馬場状態が先々週。それに比べると先週は馬場状態も落ち着きつつあるかなという感じだったが、今週は先週よりもさらに時計を要する印象の馬場。なお、基準時計に関して、基本的に時計が出る馬場で安定してきたことを理由に5F66.5秒から66.0秒に今週から速めている。
28日。極端に速い時計は出なかったものの、決して時計が遅い馬場という印象はない。ただし、動ける馬とそうでない馬の差が出てきており、馬場状態としてはフラットに近いところなのかも知れない。
前日にトレセンニュースでお伝えした
ラッキーライラック(栗東・
松永幹夫厩舎)の動きが素晴らしかったことはもちろんだが、その前方で追い切っていた同厩舎
ブラゾンダムールの動きも目立っていた。レースでは課題の多い馬ではあるが、少しずつ走ることに慣れてきた印象もあるだけに、そろそろ安定して結果を残せる状態になってきそうな気がする。
1日。含水量の多いウッドチップとなったが、決して前日と比べて走りにくい状態になったという印象はない。別ニュースでお伝えした
スワーヴリチャード(栗東・
庄野靖志厩舎)は素晴らしい動きと時計だったし、馬場の状態はあまり変わりなしと判断したい。
この日、スワーヴに次いで評価したいのは
マジカルスペル(栗東・
藤原英昭厩舎)。朝一番だったとはいえ、
ダノンフォワードを追いかけて、あっさりと交わして先着。時計は6F83.8〜5F66.9〜4F51.4〜3F37.1〜1F11.5秒と終いの伸びが素晴らしい。同じ時間帯に同じような時計で重賞ウイナーの
サトノクロニクル(栗東・
池江泰寿厩舎)が併せ馬を行っていたが、動きの俊敏さには大きな違いがあった。
先週の馬場差は「-0.9秒」。今週の馬場差は28日、1日ともに『-0.4秒』で記録。基準時計が0.5秒速くなったので、これを考慮すれば先週と変わらない馬場差ということになる。
【DP/5F64.5秒・D芝/5F63.0秒】
今週の芝馬場は28日、1日ともに
藤原英昭厩舎が追い切りで使用。数字自体はさほど速くなく、走っている様子を見ても、馬場状態としては先週まで変わりない。よって、今週の馬場差は28日、1日とも『±0.0秒』としている。
ポリトラック馬場の追い切り頭数は先週よりは少し多め。1日に3頭併せを行ったのが、
スプリングS(3月18日・中山芝1800m)の出走を予定している
レノヴァール(栗東・
高野友和厩舎)。一番前で後ろを待つような流れだったが、最後まで手応えは楽。時計は6F88.7秒と遅かったが、帰厩してすぐの追い切りということもあり、これで十分といったところだろう。馬場差は28日、1日とも『-1.0秒』で記録している。
※調教馬場横の数字は基準時計。この数字以下の時計であれば、標準より速い時計と判断してよい。
(取材・文:井内利彰)