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脱善戦マン クリンチャー完成の域に達した今なら不動の主役/トレセン発秘話

東京スポーツ
  • 2018年03月14日(水) 18時00分
 GIIスプリングSカフジバンガードを出走させるのが松元調教師。見事3着までの優先出走権を獲得すれば、厩舎にとっては解散1年前にして、最初で最後の皐月賞出走ということになる。

「クラシックは早く成長した馬に(勝つ)確率が高いレースだからね。もともと自分自身が古馬の長距離戦が好きで、クラシックには固執してやってこなかった面もある」とは当の松元調教師。

 カフジバンガードの場合は「とにかく丈夫」なのと「高い道悪適性がある」ため、皐月賞当日の馬場が悪くなったらチャンスも出てくるとあって、休まずにひと踏ん張りしてもらっているものの、「この時期に無理して使うことはしない」のが本来のスタンスだ。

 一方、体が完成しないまま、昨年のクラシック3冠を乗り切ってしまったのが、GII阪神大賞典(18日=阪神芝内3000メートル)で主役を務めるクリンチャーだ。

皐月賞菊花賞とも不正駈歩(ふせいかけあし=前脚と後ろ脚で手前が違うこと)になっていたくらいだからね。それだけクラシックを使っていたころは、まだトモが緩くて、しっかりしていなかった。そんな中で3冠全てに出走して、皐月賞4着、菊花賞2着とそれなりに結果を出したのは大したものだよ」

 管理する宮本調教師はそう振り返ると同時に、「今はトモもしっかりしてきて、以前では考えられないくらい、攻め馬でも動くようになった。ここにきてようやく完成の域に入ってきたね」と目下の充実ぶりをアピールした。

 やはり激戦のクラシック3戦を全て走り切ってしまうような馬は、それだけのタフさと高いポテンシャルを秘めているということなのだろう。

「それだけじゃなくて、運も持っているんだ。すみれSを勝った時点ではボーダーギリギリと言われていたけど、なんとか皐月賞に出られたし、そこで(ダービーへの優先出走権が与えられる)ギリギリ4着に来たことで、ダービーも使えたわけだからね」

 阪神大賞典は、頭数も手頃な上に、さしたる強敵も不在。これも持って生まれた強運ゆえか? 運に加えて、実力もついてきたクリンチャーが今週の主役。いや、京都記念阪神大賞典連勝となれば、4・29天皇賞・春の不動の主役に躍り出ることになる。

(栗東の坂路野郎・高岡功)

東京スポーツ

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