「
大阪杯・G1」(1日、阪神)
今年の主役に堂々と名乗りを上げた。“ポスト・
キタサンブラック”を争う仁川の中距離G1を制したのは、M・デムーロ騎乗の
スワーヴリチャード。豪快なまくりから力強く押し切り、1番人気の支持に応えて待望のG1タイトルを手にした。2着に6番人気の
ペルシアンナイト、3着に2番人気の
アルアインが入り、4歳勢が上位を独占。なお、復活を期した3番人気の
サトノダイヤモンドは7着に敗れた。
流れが落ち着いた向正面。満開の桜が
ゴーサインの合図だった。道中後方2番手を進んだ
スワーヴリチャードが、M・デムーロに促されてグングン加速する。3角で先頭に躍り出ると、直線は内ラチ沿いに切り込んでスパート。昨年の
有馬記念で見せた悪癖は見せず、手前をきっちりと変えて、真っすぐにゴールを貫いた。
「最高です!」。満面の笑みを浮かべたミルコだが、Vへの戦略は実に緻密だ。「芝丈が長い。スタートから出して行ったら脚がなくなると思った」。序盤はじっくり、そして勝負どころからのロングスパートは全て計算ずく。だが、外々を回る距離ロスは避けなければならない。「有馬のような競馬はしたくなかった」。3角でまくった際の制裁スレスレのプレーは“セーフ”の判定。強気の競馬で後続を振り切った。「右回りでもノープロブレム。次も楽しみです」。ここ一番の“神騎乗”が勝利を呼んだ。
庄野師は悲願のJRA・G1初制覇。勝利を見届け、諏訪守オーナー(登録名は(株)NICKS)にもたれかかって目を潤ませた。今回と同じ阪神の二千でデビュー(鼻差2着)した当時を思い出し、「勝つだろうと思っていたら負けてしまって。おごりのようなものがあったのかな。悔しくて涙が出た」。2着惜敗のダービー終了後にもまた涙。G1タイトルをつかんだ3度目は、安どの先にこぼれたうれし涙となった。
厩舎に初G1を-。担当の久保淳助手は、かつて15年
レパードSを制した
クロスクリーガーを担当。飛躍を誓った3歳の夏、愛馬が放牧先で大腸炎を発症して急死。悲しみを乗り越え、その先に出会ったのが
リチャードだった。「この馬で獲らなければ」と気合を入れて臨んだ今季G1初戦。最高の船出に喜びもひとしおだ。
今後について師は明言を避けたが、オーナーサイドは
天皇賞・春をパスして
宝塚記念(6月24日・阪神)へ向かう意向を示した。「この一年、飛躍の年にしたい。去年は
キタサンブラックが
大阪杯を勝って
年度代表馬になった。
リチャードも追いつけ追い越せ、といきたい」とトレーナー。“戦国”の様相を呈す古馬中距離路線。G1ホルダーとして挑む次戦が大いに楽しみだ。
提供:デイリースポーツ