道中は3頭が競り合う先頭集団を見るように離れた4番手につけ、残り100mほどで先頭をとらえると2着に2馬身差をつける完勝で、GIの中でも伝統と格式あるクラシックレース・
皐月賞を制した
エポカドーロ。7番人気からの激走に、新ひだか町三石本桐・田上徹牧場の先代・稔さん(66)は「クラシックを勝つなんて夢のようだ」と喜びをかみしめた。
同牧場は田上雄一さんが昭和23年ごろに開設。2代目の稔さんの代で平成16年の
朝日杯フューチュリティステークス(GI)を優勝した
マイネルレコルトを生産している。現在は3代目の徹さん(35)夫妻、稔さん夫妻の4人の家族経営で、繁殖牝馬8頭を管理している。
この日、徹さん夫妻は中山競馬場でレースを観戦。牧場では稔さん夫妻と孫の恵恋ちゃん(2)が自宅のテレビで応援し、「無事に走って掲示板(5着以内)に載ってくれればと期待していたが、生産者が一番びっくり」と驚きの様子。
エポカドーロの
母ダイワパッションは稔さんの代の生産馬で重賞2勝。その看板牝馬に三冠馬
オルフェーヴルを配合した牧場期待の馬だった。稔さんは
エポカドーロについて「ここにいたときは素直で手の掛からない馬だった。今の体型は母親にそっくりで
パワーの必要な今日の馬場に合ったのでは」と話す。
ダイワパッションの祖母は30年ほど前に牧場の基礎繁殖牝馬にと、世界的名種牡馬
ノーザンダンサーの子どもを求めて稔さんが近隣の牧場主とともにイギリス・ニューマーケットに出向いて共同購入した馬で、親子2代にわたる強い馬の生産にかける思いがこの日ついに結実した。
三石産馬の
皐月賞優勝は平成2年の
ハクタイセイ以来28年ぶりの快挙。
お祝いに駆けつけた町の本庄康浩副町長は「三石産馬の活躍が続いているのがうれしい。三冠に挑戦できるのはこの馬だけなので、次のダービーも期待している」と話していた。
エポカドーロの馬名の意味はイ
タリア語で「黄金の時代」。稔さんは「今後も、とにかく無事に走ってもらえたら」と謙虚だが、偉大な父のように黄金時代を作れるのではと競馬サークルの期待は高まっている。
また競馬場で応援した田上徹代表(35)は「絶好の枠番だと思っていた。人気が下がっていたから気楽な気持ちで見ていた。勝ててうれしい」と話していた。
日高報知新聞社