「NHKマイルC・G1」(6日、東京)
デビュー15年目での悲願達成だ-。6番人気の
ケイアイノーテックが、豪快に差し切ってG1初制覇を飾った。
藤岡佑介騎手(32)=栗東・フリー=は、中央G1・86回目の挑戦で、うれしい初勝利。馬はこのまま休養に入り、秋には距離延長も視野に入れて古馬撃破を目指す。2着に2番人気
ギベオン、3着は9番人気
レッドヴェイロン。1番人気の
タワーオブロンドンは12着に惨敗した。
派手なアクションも涙もなく、冷静に喜びをかみしめた。
ケイアイノーテックを勝利に導き、86回目の挑戦でつかんだ念願の中央G1タイトル。藤岡佑は出迎えた平田師と熱い抱擁を交わし、「やったー」とようやく満面の笑みを浮かべた。
つい数分前まで覇権を争った池添が飛びつき、同期の川田らが次々と駆け寄って握手攻めにする。デビュー15年目。自然と広がる祝福の輪が、その時の長さを物語っていた。「うれしいです。ずっとG1タイトルを欲しいと思ってジョッキーをやってきた。やっと獲れた感じです」と万感の思いを言葉に乗せる。
発馬後は行き脚がつかずに後方2番手から。「遅れたら直線は外と決めてました」。強風の中、懸命のステッキで鼓舞すると、メンバー最速の上がり3F33秒7の末脚を引き出し、先頭で歓喜のゴールへ。「内外離れていて勝ったかどうか分からなかった。一番やっちゃダメなヤツなんですけど、2着のジョッキーに確認しました」と苦笑いで明かした。
胸に刻む言葉がある。自分を信じると書いて『自信』。ただ、藤岡佑は「自分を信じてくれる人が増える」ことを大切にしてきた。周囲から信頼される騎手になるべく、結果が出ないときも調教やレースと常に真剣に向き合った。
前日の
ステイフーリッシュでの
京都新聞杯Vは中谷の負傷により、この日も
武豊の騎乗停止で巡ってきたチャンスだった。「いいタイミングで乗せてもらえました。こういうときに結果が出せるジョッキーになるためにやってきたので」。2日連続の重賞Vは、続けてきた努力が報われた瞬間だった。
「この勝利をいい経験に、次につなげたいですね」。07年の自身最多5勝に迫る、既に今年JRA重賞4勝目。G1初制覇でさらに勢いをつけ、ターフを熱く沸かせ続ける。
提供:デイリースポーツ