オークスから2日後の美浦トレセン。
国枝栄調教師に優勝馬
アーモンドアイのレース後の様子を尋ねると、こんな声が返ってきた。
「今回?しっかり競馬をしてきたから、さすがに息は乱れていたなあ」
レコードVの
桜花賞直後でも、すぐに息が入った“怪物”でさえ、乗り切るのが至難の舞台。それが東京二四という本格コースなのだろう。
「レース後は脱水気味でしたね。本質的に長いのかもしれませんが、この時期の3歳牝馬にとって東京二四は、やはり過酷。さらに、あの日は気温が高かったし、馬の
テンションも高かった。相当にきつかったと思います」と、椎本英男助手も厩舎の大仲(休憩所)で振り返った。
さて、舞台を同じくして3歳牡馬の頂点を決める第85回
日本ダービーウイークが進行している。「1強」だった牝馬戦線と異なり、バトル
ロイヤル的な乱戦ムードが牡馬戦線を包み込むが…。
昨年を振り返ると、
皐月賞5着馬
レイデオロが優勝。2着は同6着
スワーヴリチャード。上位8頭中7頭が
皐月賞出走組(5、6、16、1、3、2、13着)であり、いわゆる“王道路線”がタフな戦いに備える最大の下地になっていた。
「
コズミックフォースも
プリンシパルS後に体に張りが出て、馬は良くなっているんですけどね。やっぱりキャリアの厚みという点で一枚落ちは否めない。一発あれば
オウケンムーンかなって気はするんですが」
“2頭出し”国枝厩舎の牡牝ダブル制覇の可能性を問う当方に、こう語ったのは前出・椎本助手。
皐月賞2桁着順同士(14着
ロジユニヴァース→13着
リーチザクラウン)のリベンジ決着だった2009年ダービーは今も鮮烈だが、今年の
皐月賞12着
オウケンムーンに反撃の余地は残されているのか?
「あると思いますよ。そもそも千八で重賞(
共同通信杯)を勝ったことにビックリしたくらい。スタミナと操縦性の高さが武器で、距離が延びるほどいいと思っていましたから。それに新潟の未勝利をレコード勝ちしたように、左回りのほうがパフォーマンスも上がっている。
皐月賞はゲートのタイミングが合わず、直線も荒れたインを通ってジ・エンド。とにかく競馬にならなかったし、特殊な馬場(稍重)と馬群が分断される、あまりに異質な展開…。あの結果が反映されるとは限りません」
先週同様の夏日が予想される週末の府中。暑くて熱い舞台の本命馬は、椎本クンの言葉を参考にタフな東京二四でこそ輝く馬から探すつもりだ。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)
東京スポーツ