さきたま杯に限らず浦和のダート
グレードでは地方馬の好走が目立つ。もちろん他の
地方競馬と比べて南関東のレベルが高いということもあるが、そのト
リッキーなコースに加え、ペースや展開で紛れが生じやすいということはあるだろう。
結論から言ってしまえば、ハイペースの先行勢のうしろについていって強い競馬をしたのが
サクセスエナジーで、小回りの浦和でも末脚を生かす自分の競馬に徹したのが
キタサンミカヅキ。3着に伏兵
アンサンブルライフが入り、南関東勢が2、3着に入った。
7番枠の
ノブワイルドが互角のスタートから行く気を見せ、4番枠の
ネロも譲らない構え。1コーナーを回るところで外の
ノブワイルドがハナを取りきり、外枠の
グレイスフルリープは3番手から。最初の3F通過が35秒1というハイペースとなって、先行勢総崩れ。レースの上がりは38秒6もかかり、37秒台で上がった2頭による直線叩き合いとなった。
勝ったのは1番人気に支持された
サクセスエナジー。2番枠からのスタートで、すぐ外の
ネロが速いと見ると、すぐに控えて外に持ち出すような素振りを見せたが、
ナガラオリオンに外でフタをされる形となってそのまま内を進むことになった。2走前の
コーラルSでは馬群の中で砂をかぶって能力を発揮できなかったため、おそらく砂をかぶらないところに持ち出したかったのだろう。
一方、末脚勝負の
キタサンミカヅキは最初から行こうという意志はなく、外の行く馬を行かせ控えての追走。2コーナーでは後方3番手だが、
ユッコはすでにペースについて行けない感じで、流れに乗っている馬のなかではほとんど最後方といってもいい位置を追走した。
直線220mの浦和で後方から直線一気というのはよほど能力が抜けているか、特異な展開にでもならない限り難しく、ある程度ペースが流れたときには残り600mあたり、つまり3コーナー手前からしっかり脚を使えた馬が勝ち負けになるパターンが多い。結果的にハナ差2着ではあったが、今回そのレースをしたのが
キタサンミカヅキ。3コーナー手前から一気に勢いをつけて位置取りを上げていくと、4番手で外に持ち出そうとしていた
サクセスエナジーは、むしろ
キタサンミカヅキの勢いに連れられての進出。前の3頭はすでに勢いを失い、直線は2頭の追い比べ。鞍上の2人もわからなかったという写真判定の結果は、
サクセスエナジーが先着。判定写真を見ると1目盛りにも満たないわずかの差で、1kg余分に背負っていた
キタサンミカヅキにとっては不運だったとしかいいようがない。
勝った
サクセスエナジーはまだ4歳でもあり、前走
かきつばた記念より2kg増の56kgとなっての勝利ということでは、今後の期待も高まる連勝となった。次走は
プロキオンSとなるようだが、さらに上のJpnI、
JBCスプリントを目指すということであれば、確実に出走枠に入るためには、どこかであとひとつは重賞を勝っておきたいところ。
キタサンミカヅキは、大井の長い直線でこそと思って軽視してしまったが、小回りコースでもしっかり長く脚を使った。上り37秒2は当然のことながらメンバー中最速。前が競り合ってのハイペースに恵まれた面もあるが、直線が短くても3コーナーから存分に末脚を発揮できることを示した。
連闘で臨んだ9番人気
アンサンブルライフが3着。中団を追走し、着狙いで拾った3着と言えなくもないが、昨年のこのレースでも地方最先着の4着と好走していた。例は上げないが、あらためて
小久保智厩舎の連闘はちょっと怖い。
グレイスフルリープは4着で、結果的に2戦続けての好走がないというジンクスが続いた。1頭が除外となって、馬番は11番だが11頭立てで10番目の枠からのスタート。気合を入れて出して行ったが、
ノブワイルドの譲らない構えを見て、すぐに手綱を抑えた。しかし馬には勢いがついてしまい、競り合う2頭の直後でハイペースに巻き込まれることとなった。2走前の
黒船賞では暴走気味の単騎逃げになっていたように、カッとなって行ってしまうところがあるのかもしれない。浦和コースで1600mの外枠不利はよく言われるが、1400mでも1コーナーまでの距離がそれほど長いわけではなく、逃げ・先行馬が外枠に入ると厳しい。
逃げた
ノブワイルドは7着。2走前、中央500万との条件交流で大差圧勝の勝ちタイムが1分26秒4で、今回の勝ちタイムはそれよりコンマ2秒速いだけ。今回は競りかけてくる馬がいたことで余計に厳しいペースを強いられたが、同じような勝ちタイムでも、条件クラスと重賞クラスではレースの流れが違う。やはり競馬は単に時計だけの勝負ではない。ただ今回の厳しいペースを経験して、今後の上積みは期待できそう。
ベストウォーリアはスタートしてのダッシュもあまりよくなく、3コーナーで
サクセスエナジーの直後につけたが、4コーナー手前からは差を広げられる一方。年齢的なこともあるだろうし、常に上位争いをしていた昨年までの勢いがない。