門別競馬場の馬場は年によって、また開催によって、さらには日によっても違いがあり、単純なタイム比較が難しいが、今年は例年以上にタフな馬場になっているようだ。2歳戦などは勝ち馬でもゴール前で脚が上がってしまうようなことも少なくなく、見ていてかわいそうなほど。ゴール前が上り坂になっているのではとも思えるほどスタミナ比べとなる。
そういうわけで今回の勝ちタイム1分12秒9は、乾いた良馬場だったということもあるが、このレースが門別1200mで実施されるようになった2010年以降でもっとも遅いものとなった。前半3Fが34秒7、後半が38秒2と、前後半で3秒5も違うが、必ずしも前半がオーバーペースだったわけでもない。
3コーナー過ぎで先頭に並んだ3頭は6着以下に沈んだが、直線は、その直後につけていた3頭、
ラブバレット、
テーオーヘリオス、
スノードラゴンによる追い比べ。4コーナーを回るところでは
ラブバレットの手応えが抜群で、そのとおり直線を向いて先頭に立ち、そのまま押し切るかにも思えた。しかし内からしぶとく伸びた
テーオーヘリオスが、クビ差とらえてのゴールとなった。
その
テーオーヘリオスだが、3、4コーナーはラチ沿いを進み、前にいた
コスタアレグレの勢いが鈍ったのを見て、その
コスタアレグレと
コパノマイケルの間を突こうとしたものの、そこに抜けられる隙間はなく、外には
ラブバレットがいて行き場をなくしかける場面があった。立て直して
コパノマイケルの外に持ち出し、
ラブバレットとのわずかな間を抜けてくるという、勝負どころでのロスがあった。
表彰式のインタビューで浜中騎手が「差はわずかでしたが、ぼくがうまく乗れなかったからの着差(クビ差)だった」と話していたのは、おそらくそこのところだろう。それを考えると、レースぶりとしては完勝といえるもの。
それにしても
テーオーヘリオスは、4歳の2016年から5歳の17年にかけての2年間、勝ち星から遠ざかったものの、今年になって5戦3勝2着1回。すっかり立て直したようだ。目標が
JBCスプリントということであれば、さらに賞金を加算する必要がある。
地方競馬的な視点でいえば、
テーオーヘリオスの勝負どころでのロスまで含めて、
ラブバレットのクビ差2着はなんとも残念だった。
東京スプリントは外々を回らされすぎての6着。今回も馬群に包まれないように外を回して、最高にうまく乗ったと思う。それでも最後のひと伸びが足りなかった。
昨年の
クラスターCはコースレコードで走っている(タイム差なしの2着)だけに、もう少し速い馬場だったらと思わざるをえないが、それも含めての競馬だ。それにしてもここまでダート
グレードで2着3回に3着2回。いつかダート
グレードを勝てると言われながら、もう7歳だ。
スノードラゴンは4コーナーからムチが入っていたが、それでもしぶとく伸びてアタマ差3着。これで3年連続3着。10歳で59kgを背負ってということでは恐れ入る。2014年の
スプリンターズS以来勝ち星がないが、その後の
スプリンターズSでも入着するなど賞金はかなり稼いでいる。芝でのGI勝ちによって、ダートのGIII/JpnIIIでも常に58kgや59kgを背負わされるのは理不尽とも思えるが、仕方ない。
2番人気に支持された
ニシケンモノノフは、3着の
スノードラゴンから2馬身半離れての4着。位置取りが中団だったぶんの差で、後半3F37秒台の前3頭と同じような脚は使っている。
JBCスプリントを“勝ってしまった”馬は、その後斤量を背負わされ続けての苦戦が目立ち、そのパターンに嵌っている。