今週の栗東はいかにも梅雨らしい空模様。20日から21日にかけては雨が降り続けたが、その降水量がかなり多かった。20日の調教時間中は前半は影響が少なかったものの、後半は雨が降ること自体で追い切りに影響を及ぼしている。ただ、雨が降らなかった21日の調教時間は決して走りにくいところまでは影響を受けていない。
20日も21日も少し蒸し暑さを感じる状態。少しずつではあるが、夏負けの兆候が出ている馬もいるだけに、そろそろ季節的な成績を気にした方がよいかも知れない。
【坂路/4F51.9秒】
20日。一番時計は
ラベンダーヴァレイ(栗東・
藤原英昭厩舎)の4F50.3秒。開門直後のきれいな馬場を駆け上がってきたが、藤原厩舎の坂路組はみな真っ先に駆け上がっている。いつもはもう少し遅い時間帯での追い切りなので、雨の影響を受けて馬場が悪いことを見越しての追い切り。このあたりがさすがの対応といった感じがする。
二番時計は
宝塚記念(6月24日・阪神芝2200m)に出走予定の
ミッキーロケット(栗東・
音無秀孝厩舎)。2F目から12.5秒と速いラップを踏んだにも関わらず、最後まで余力十分の走り。動きとしては申し分なく、G1奪取へ向けて態勢が整ったといった感じすらある。
21日。一番時計は
マテラスカイ(栗東・
森秀行厩舎)の4F50.1秒。朝一番の開門直後の追い切りだったが、調教時間帯には雨が止んでいたこともあり、20日の調教時間後半よりは走りやすい状態だったと思われる。
先週の馬場差は「-0.3秒」。今週は馬場差が難しい。というのも、20日の6時40分以降の追い切りはそれ以前よりも時計を要する状態になっていて、特に7時30分ごろから8時ごろにかけては豪雨の影響で時計が出にくい状態だった。しかし馬場差は一日単位での記録にしているので、一応、今週の馬場差は20日、21日とも『+0.2秒』で記録している。
【CW/5F66.0秒】
20日。6Fで80秒を切ったのは、
東京ジャンプS(6月23日・東京障害3110m)に出走予定の
アスターサムソン(栗東・
中竹和也厩舎)。林満明騎手はこれを最後の騎乗と表明しているが(騎手は引退しない)、この動きを見ると、馬が有終の美を飾る後押しをしてくれているような気がする。
21日。前日に比べると時計が出る印象のある馬場。この日は7月8日(日)中京芝2000mでデビュー予定の
ブラヴァス(栗東・
友道康夫厩舎)が3頭併せの先頭で追い切り。後ろ2頭を1秒近く離すような先行だったが、3コーナーすぎでは更に後方にいた
ジュンヴァルロも加わるような形で4頭並んだ状態で最後の直線へ。
外で手応えよく走る
ブラヴァスに並んできたのが、来週デビュー予定の
アドマイヤマーズ。2頭での追い比べとなり、最後は
アドマイヤマーズが半馬身ほど先着。
ブラヴァスは遅れたが、他2頭には先着しており、時計は6F82.9〜5F67.9〜4F53.4〜3F38.4〜1F11.8秒。数字は悪くないし、追い切るごとにその動きが良くなっているのは間違いない。
先週の馬場差は「-1.0秒」。今週は雨の影響を受けており、先週のように時計は出ていないが、ほぼ基準時計と同じといってよいくらい。よって馬場差は20日、21日とも『+0.1秒』で馬場差を記録している。
【DP/5F64.5秒・D芝/5F63.0秒】
今週の芝馬場は雨の影響もあり、20日、21日ともに追い切りあり。特に20日の追い切り頭数は多く、翌21日はかなり悪い馬場状態だったが、ここで圧巻の動きを見せたのが、2歳新馬の
エイシンゾーン(栗東・松元茂樹厩舎)。前に2頭を見て、直線で前を捕まえに行ったが、伸び切れないように見せかけて、残り300mくらいで2頭を突き放す動き。梅雨時期だけに同じような馬場でレースできれば、かなり高いパフォーマンスを見せるのではないだろうか。今週の馬場差は20日、21日とも『+1.5秒』で記録している。
ポリトラック馬場の追い切り頭数はかなり増えた。ウッドチップ馬場の状態を考えると、スピードに乗って、程よく負荷をかけることができるので、ポリトラックという選択肢はベターなはず。これから暑い季節になってくれば、より需要が増えてくる可能性はある。今週の馬場差は20日、21日とも『+0.0秒』で記録している。
※調教馬場横の数字は基準時計。この数字以下の時計であれば、標準より速い時計と判断してよい。
(取材・文:井内利彰)