全休明け(3日)の美浦トレセンで複数の関係者が、こんな言葉を口にした。
「急に暑くなったせいか、馬がバテ始めた」
関東圏は連日の気温30度超え。梅雨明けとともに一気の夏到来である。調教終了時には打ち水がされ、馬房の前にはスダレが立ち並ぶ。各キュウ舎が“戦力”の体調管理に腐心する中、通称・坂路
タワーで当方が、やっと見つけた
高木登調教師も暑気対策に追われていたようだ。
「僕を探しにキュウ舎に行ったんですか? すみません。今週から調教を“サマータイム”に切り替えたんです。折り返しを2時間半から2時間に短縮。涼しいうちに調教を済ませようとすると、合間にキュウ舎に戻る時間が消えちゃいまして(笑い)」
冬場に強いイメージがあるキュウ舎だが、今夏は例年以上に勝ち星を伸ばしそうな予感…。
マイネルフロストが2年連続で挑戦する
七夕賞は、その弾みをつける大事な一戦になろう。9か月ぶりの復帰戦・
エプソムCは9着だったが、師に悲観の色は一切ない。
「調教で動いた前走も期待したんですが、結果的に差し馬有利の馬場とブランクが影響したかな。ただ、悪い時は頭を上げてバッタリ止まる馬が、前走は最後まで諦めず走った。次につながる内容だったと思います」
指揮官が語る通り、同馬にとって“諦めない”は重要なキーワードだ。5歳時(16年)のアメリカJCCから翌年の同レースまで10戦は、
アンドロメダS3着が最高(うち4回は2桁着順)。極度のスランプに一時は抹消の声さえ上がったが、それを覆したのが“諦めさせない馬具”ブリンカーの装着であった。
「かかる馬だけに合わないとの意見もあったのですが、ダメもとで着けさせてとお願いした。すると去年は重賞2,3,2,6着。ジタバタするものですね(笑い)」
思えば昨年の
七夕賞2着も負けて強しだった。5ハロン通過58秒0のハイペースを4角先頭の積極策。同馬主(シルクレーシング)
フェイマスエンドの“援護射撃”もあり、叩き合いは
ゼーヴィントに軍配が上がったが、3/4馬身差の粘走は完全復活を思わせるものだった。
「一転して今年は強力な先行馬が不在の組み合わせ。他が行かなければハナもあるかな」と策を練る指揮官だが…。メンバーを見れば今年は
マイネルサージュ、
マイネルミラノと軍団3頭出し。昨夏のシルクよろしく同馬主の連携プレーもあるのか。馬名はフロスト(霜、氷結)でも夏に強い芦毛馬に注目しよう。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)
東京スポーツ