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開成山特別」(7日、福島)
開設100周年を迎えた福島が“歴史的1勝”に沸いた。約4年8カ月ぶりの平地戦出走となった
オジュウチョウサン(牡7歳、美浦・和田郎)が3馬身差の完勝。ハードル界の絶対王者が、平地でも力の違いを見せた。この勝利で平地重賞に出馬投票できる権利を獲得。陣営はファン投票選出での
有馬記念(12月23日・中山)出走を目標に掲げた。
G1にも匹敵する歓声が福島の空にこだました。障害界の絶対王者
オジュウチョウサンが、約4年8カ月ぶりの平地戦を見事にV。後続に3馬身差をつけて完勝した。
降り注ぐ暖かい拍手に、初コンビとなった
武豊は「この馬の人気を改めて感じました。初めてまたがったけど感触のいい馬」と笑顔をのぞかせる。「障害がなくても強い。もっと走るよ。しかし誰だ、無印にしたのは。謝れ(笑)」。パンツの泥を払いつつ、周囲の記者にツッコんだ。
馬場入場からしばらく、オジュウはきょとんとしていた。いつもは競走前に見て回るはずの障害がない。しばらくたたずんでいたが、周囲が返し馬に入るのを見て得心したのか、ゆったりと返し馬のキャンターへ移行した。
平常心で入ったゲートは速かった。すぐに抑えて4番手の内で折り合う。勝負どころの4角で先頭に立つと、大歓声のなかゴールラインを貫いた。「パドックやスタート前もたくさんの人が見てくれているのを感じました。歓声もすごくて。そこをきっちり勝ってくれる。すごい馬です」。歴史的挑戦を見届けた和田郎師は胸をなで下ろした。
平地での収得賞金はまだわずか500万円。しかし、これで全ての平地重賞に出馬投票できる権利を獲得した。フルゲートに満たなければ出走が可能で、ファン投票上位に食い込めば
有馬記念参戦もかなう。「オーナーがそういう意向であれば、次も平地で適切なところを考えていくことになると思います。馬の状態も見て、間をどれだけあけるかなど、しっかり考えなければ」とトレーナーは気を引き締めた。
今後は条件戦を勝ち上がっていくのか。あるいはひとっ飛びに平地重賞へ挑むのか。いずれにしても、年内の大目標は暮れの
グランプリだ。「産駒特有の身のこなしの柔らかさとか、スタミナもスピードも受け継いでいる」。
父ステイゴールドの背も知る
武豊は広がる可能性を口にした。競馬界の“二刀流伝説”へ-。この日が、その起点になる。
提供:デイリースポーツ