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成長途上でも圧勝のルヴァンスレーヴ/ジャパンダートダービー回顧(斎藤修)

  • 2018年07月12日(木) 18時00分
 ユニコーンSに続いて、ルヴァンスレーヴが1頭だけ次元の違いを見せた。ここまで唯一の敗戦が中山の伏竜Sだったため右回りが懸念されたが、それもおそらくは問題なし。初めての2000mも、行き脚がつかないこの馬にはむしろ強さを際立たせるものとなった。ユニコーンSからジャパンダートダービーの連勝は、カネヒキリノンコノユメに続いて3頭目。ルヴァンスレーヴもそのレベルである可能性を示した。

 これといった逃げ馬がいなかっただけに、テーオーエナジーの逃げは想定内。兵庫チャンピオンシップでもスタート後は先頭に立っていて、その直後にガクッとトモを落とす場面があって位置取りを下げることになったが、それがなければ兵庫チャンピオンシップでも逃げていたと思われる。向正面に入ってやや行きたがる素振りがあって単騎の逃げになる場面もあったが、2F目に11秒8、6F目に13秒1があるだけで、ほかはぜんぶ12秒台のラップを刻んだ。前半1000mが62秒6、後半が63秒2で、勝ちタイムが2分5秒8というまったくの平均ペース。どの馬も能力を発揮できる流れ、展開だった。

 そんな中で、勝ったルヴァンスレーヴは1コーナーを14頭立て12番手で回った。うしろにいた2頭はブービーと最下位だった地方他地区の2頭だったので、これは最後方といってもいい位置どり。4コーナーを回ったのも9番手だが、直線半ばを迎える前に、これは勝てるだろうという勢いだった。繰り返しになるが、1頭だけ能力が抜けていた。

 デムーロ騎手をはじめ関係者が口にしていたのが、「まだ体が緩い」「トモが緩い」ということ。スタートダッシュがよくないのは、そのために踏ん張りがきかないからのようだ。伏竜Sでは3コーナーで一旦は先頭に並びかけながら、4コーナー手前で置かれてしまったのは、休み明けもあっただろうが、他馬がペースアップしたところで踏ん張りがきかなかったのかもしれない。さらに、あくまでも“どちらかといえば”というレベルではあるものの、右回りよりも左回りのほうがスムーズにレースができているようだ。

 その“緩さ”が解消されれば、さてどれほどの器になるのか。理想的な状態になって秋を迎えることができれば、チャンピオンズCでは、ゴールドドリームケイティブレイブと互角に戦うレベルになっている可能性もある。

 2着争いは直線を向いて5、6頭ほどの激戦となり、直線半ばまでは劣勢に見えたオメガパフュームが、最後の100mだけぐいっと伸びて抜け出した。クビ差で3着に入ったグレートタイムとともに、長い直線と距離延長がプラスに働いたと思われる。

 そして2、3着馬とタイム差なしの4着に入ったクリスタルシルバーには、東京ダービーに続いてちょっと驚かされた。とはいえレース内容的には、東京ダービーより格段に進歩したということでもない。東京ダービーが外枠からかなり強引に内の好位を取りに行ったのに対して、今回は内の2番枠から抜群のスタートを切って、すんなり内の3番手を取れたということもあった。馬場状態の違い(東京ダービーが重、今回が良)があるにしても、東京ダービーの1000m通過が62秒7で、今回が62秒6だから、ほぼまったく同じペース。同じ内の3番手の位置取りだが、今回、向正面あたりでは先頭からはやや差があった。さすがに後半は東京ダービーの64秒0よりやや速くなって63秒2だが、同じように最後までよく粘った。1頭次元の違う馬がいたため、着順が4に下がったというだけ。それにしても、その鞍上が怪我から今開催復帰したばかりの的場文男騎手だったということのほうに驚かされる。

 クリスタルシルバーとは対照的に、能力を発揮できなかったのがハセノパイロ東京ダービーと同じように5番手あたりを追走したが、3コーナーから手応えがあやしくなり、あとはずるずると後退。前述の通り東京ダービーと比べて厳しいペースだったわけではなく、それでいて東京ダービーの勝ちタイムより3秒4も遅い2分10秒1は、明らかに能力を発揮していない。同じように走っていれば、クリスタルシルバーと同様2着争いに加わっていてもよかった。3歳になっての2戦がイマイチの成績で、羽田盃3着で復調を示し、そして東京ダービーと力をつけてきたということで、そこがピークだったのかもしれない。

 逃げたテーオーエナジーは最後の100mで失速して5着。ドンフォルティスは直線での2着争いに加わったものの粘りきれずに6着。2、3着馬とは反対に、この2頭には2000mという距離がマイナスに働いたようだ。加えてテーオーエナジーには、日本ダービーを使って最下位だったという反動もあったかもしれない。

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