毎年、この時季になると「もう少しパドックの時間を短くしてほしい」というキュウ務員さんからの要望が耳に届くが、「命の危険を伴う暑さ」といわれる今夏は、例年以上にそういった声が聞こえてくる。中には1時間前集合の装鞍所から馬をずっと引いている担当者もいるわけで…。装鞍所→パドック→馬場入りまでとなると酷暑の中での疲労は相当なものだろう。そのうちパドックで人が倒れるという事態もあり得ない話ではない。
そんなサバ
イバルシーズンで重視すべきは「夏は牝馬」の格言? GIII
小倉記念(8月5日=小倉芝2000メートル)にも格好の“標的”が2頭(
キンショーユキヒメ、
レイホーロマンス)いるのだが…。
レイホーロマンス担当の宮城キュウ務員からは意外な言葉が出てきた。
「“夏は牝馬”じゃなくて“夏はセン馬”じゃないの? ○玉がないんだから、暑い時季には強いはずでしょ」
確かに言われてみればその通り。セン馬といえば丈夫で長持ち。酷暑に対する耐性も強いと見るべきか…。宮城さんの“助言”に従い、急きょ
ターゲットをセン馬に変更。小倉競馬場滞在の関東馬
サンマルティンも気になるところだが、とりあえず
トリオンフの元へ。
「この暑さでも馬は元気だよ。ビシャビシャになるぐらい汗をかいてるから、熱が体にこもらないんだろうな。しっかり調教も動いているし、カイバもよく食べているわ」と阿南キュウ務員。
一方で調教役の橋本助手もトーンは高い。
「
大阪杯(8着)後に1週間ほど短期放牧に出したことはあったけど、それ以外はずっとキュウ舎にいて使い詰めだったからね。前走(
鳴尾記念2着)なんか正直、デキはイマイチだった。でもこの中間は1か月放牧に出してリフレッシュさせたからね。効果は十分。夏はセン馬? なるほど。確かにその通りかも」
今年2月の
小倉大賞典で2馬身半差快勝を決めている相性のいい小倉で
トリオンフが重賞V2。しかも相手に
サンマルティンをつれてくるようなら…。まさに「夏はセン馬」の新格言が出来上がる。
(栗東の坂路野郎・高岡功)
東京スポーツ