かつてイチモツを振り回しながら新馬戦を勝った
ゼンノエルシドが話題を集めたことがあるにはあったが…。本来、「馬っ気」というものはレースに対してマイナスの要素でしかない。
馬っ気のキツさから米国遠征時には「クレージーホース」と名付けられた
ラニを管理していた松永幹調教師はこう振り返る。
「アメリカでは馬っ気がひどくて、まともに稽古ができなかった。レース中もおそらく走りに集中していなかったと思うよ。そんな状況でもあれだけ走ってくれたわけだから。種牡馬になることが決まっていたので、できなかったんだけど…。去勢していたら、もっと走れていたと思うよ」
半端ない馬っ気を抱えながらUAEダービーを制し、米3冠最終戦
ベルモントSでも3着に食い込んだ
ラニは、相当なポテンシャルを持った馬だったことは間違いない。
今、栗東トレセンにいるオープン馬の中で、最も馬っ気がキツいのは
マサハヤドリームだろう。関係者の話を聞くだけで、その大変さが伝わってくる。
「新馬戦(1着)のパドックで馬っ気を出して、その時から話題沸騰って感じになってましたからね。牡馬、牝馬構わず馬が近づくとその気になってしまうので、とにかく大変なんです」とは管理する今野調教師。
具体的にどんな工夫をしているかというと…。
「調教では(他の馬がいる)角馬場には入れないから、馬がいないEコース(ダート)を歩かせてから、時間帯をズラして(追い切りなどを)やってます。それと競馬場。馬房では周りの馬が見えないようにカーテンをつけているし、競馬が終わった後も、上がり運動をしていると周りの馬を見て馬っ気を出すから、運動もできないんですよ」とは担当の原田助手。
いつアク
シデントが起こってもおかしくないので、できるだけトレセン滞在日数を減らすよう、競馬の後は短期放牧に出し、レース前に戻すパターンを繰り返しているという。
前走の
福島テレビオープンの時もパドックでは“ギンギン”(レーシングビュアーを契約している人なら、その“暴れっぷり”をチェックできるのでぜひ!!)。それでもレースではきっちり差し切ってしまうのだから、この
マサハヤドリームのポテンシャルも相当に高いことだけは間違いない。
小倉日経オープン(26日=小倉芝1800メートル)に臨むにあたり、「相性がいいコースだし、引き続きオープン特別だからね。きっちり結果を出したいところ」と手応え十分の原田助手。
パドックではおそらく“フルスロットル”状態になっていると思うが、馬券を買う側はそれに惑わされないようにしたいものだ。
(栗東の坂路野郎・高岡功)
東京スポーツ