夏にどの競馬場を主戦場にするかで各厩舎、キャラクターが分かれる。過ごしやすい北海道に全勢力を傾ける厩舎もあれば、広くてコースのバリエーションが豊富な新潟をメインとする厩舎もあるなか、川村厩舎といえば“小倉まっしぐら”で業界では有名だ。
何せ北海道開催は2003年を最後に一度も使ったことがないし、夏の新潟開催に関しても16年から今夏まで、出走は昨年の
BSN賞(
タガノゴールド12着)のみ。ほぼすべての厩舎エネルギーを小倉に注いでいるといっても過言ではない。
厩舎の大仲(休憩所)には小倉、新潟、札幌の番組表がテーブルに貼り付けてあるが、新潟、札幌は真っ白。「ウチのテキ(調教師)は札幌はもちろん、新潟も眼中にない。小倉しか見てないんちゃうか」とはあるスタッフの弁だ。
そんな小倉を愛してやまない川村厩舎が、今年は久々に? 同地で存在感を見せつけた。初日の
ブルベアオーロを皮切りに、序盤にデビューさせた3頭の新馬がすべて勝利する快挙。そして、その3頭が揃って夏の小倉開催オーラス重賞となるGIII小倉2歳S(9月2日=小倉芝1200メートル)にエントリーしてきたとなれば、注目せずにはいられない。
「
ミヤジシルフィードは先行力と勝負どころでの加速が売り。その代わり少ししまいが甘いかな。反対に
ブルベアオーロはスピードこそ
ミヤジに劣るけど、しまいの伸びがいいね」とは釘田助手。
フェニックス賞3着でスピードを見せた
アーデントリーを含め、それぞれに持ち味はあるが…。過去10年で上がり3ハロン上位3位以内の馬が8勝というデータを重視すれば、1200メートルといえども、ただ前に行くだけの馬では通用しないのは明らか。
坂路野郎の結論は、初戦を最速上がりでまとめているうえに、担当の福永助手が「使った後も間隔があったからじっくり調整できて、初戦より馬がしっかりした。十分上積みが感じられる」と上昇度も口にする
ブルベアオーロ推しでいこうと思っている。
これで一番“薄め”の
アーデントリーが来たりするのがこの厩舎の難しさなのだが…。ともかく愛すべき小倉のラストウィークに10頭前後の大挙出走を予定している川村厩舎が、同地の重賞初Vを決めて、ついでに09年以来となる夏の小倉リーディングも獲得してくれることを期待している。
(栗東の坂路野郎・高岡功)
東京スポーツ