函館2歳Sや小倉2歳Sなど、多くの馬が新馬V後に出走してくる早期の2歳重賞ならいざ知らず、クラシックに直結するような重厚な
グレードレースに、キャリア1戦で挑戦――。
こんなローテはキュウ舎の期待の表れだ。新馬戦を勝った後、GIII
共同通信杯にぶつけた
リアルスティールなどはその典型。レース史上初となるキャリア1戦の馬の勝利という結果と、その後の活躍(16年
ドバイターフ制覇)を思えば、1走しか経験していない馬を伝統のGIII戦に挑戦させた矢作調教師の采配は正しかった。
今年3月のGII
チューリップ賞にキャリア1戦で挑戦したのが
サラキア。当然ながらこちらのローテにも陣営の高い期待が込められていた。「当時は体が寂しかったので、あまり多く数を使えなかったという面もあったけど、それ以上に能力でなんとか権利は取ってくれるんじゃないかという気持ちがあった」と振り返るのは
池添学調教師。
結果4着でもくろみ通りには運ばなかったが、上位3頭が
桜花賞&
オークスともに掲示板に載った強豪だっただけに、デビュー2戦目の馬とすれば大健闘だった。
その後のGII
フローラSでは脚を余して4着に敗れ
オークスにも出走できなかったわけだが、それが今となっては結果、吉と出ているというから災い転じてなんとやらである。
「春を無理に使わなかったことも良かったようで、このところはカイ食いがすごく安定して、体に張りが出て芯も入ってきました。今ならレースに行って体がしぼむということもなさそうです」とトレーナー。
チューリップ賞で負けた3頭が出てこない今週の
ローズS。
グレードアップした走りであっさり結果を出して本番となれば…。2冠馬
アーモンドアイの一番の強敵は身内(馬主が同じシルクレーシング)にあり、ということになるかもしれない。
(栗東の坂路野郎・高岡功)
東京スポーツ