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神戸新聞杯・G2」(23日、阪神)
鮮やかなV発進だ。2番人気に推されたダービー馬
ワグネリアンが、豪快な差し切りで重賞3勝目。落馬負傷した福永の代打を務めた藤岡康が大仕事を果たし、自身のJRA通算500勝達成に花を添えた。上位3頭までに
菊花賞(10月21日・京都)の優先出走権が与えられたが、次戦は
天皇賞・秋(10月28日・東京)に目標を定め、古馬撃破を狙う。なお、1番人気の
皐月賞馬
エポカドーロは4着に敗れた。
最後はダービー馬の意地だった。中団を追走し、4角手前で外から進出した
ワグネリアン。藤岡康が直線半ばで左ステッキを放つと、一気に末脚を加速させた。それでも、逃げた
メイショウテッコンの驚異的な粘りで、なかなか差が詰まらない。懸命に手綱を押して相棒を鼓舞し、残り50メートル過ぎにようやく先頭へ。最後は大外を強襲した
エタリオウを半馬身差で制し、歓喜のゴールへと飛び込んだ。
落馬負傷した福永の代役を果たし、鞍上に安堵(あんど)の笑みが浮かぶ。「ダービー馬だし、自信を持って乗りました。行きたがるところもあって決してうまくは乗れなかったですが、馬の力に助けられました。最後はダービー馬の根性を見せてもらいました」。この勝利で、自身のJRA通算500勝も達成。「いいタイミングで勝たせてもらいました」と周囲に感謝した。
調教での騎乗経験があったとはいえ、実戦は初。ダービー馬の秋初戦を託された重圧を和らげたのは、主戦・福永との電話だった。「レースでの
テンションや普段との違いを教えていただきました」。助言を生かして結果につなげた鞍上を、金子真人オーナーは「本当に康太くんが上手に乗ってくれた。祐一くんの穴を埋めてくれた。褒めておきました」と手放しでたたえた。
今後は、福永とのコンビ復活で
天皇賞・秋を目指す。距離適性を考慮してのもので、友道師は「オーナーと話して決めました。東京二千は一番合っていそう。(きょうは)今後に弾みがつく勝利でした」と古馬との初対決に自信をにじませた。18年ぶりのクラシックホースの激突に沸いた一戦を制し、手にした自信。世代の代表としての誇りを胸に、現役最強馬への階段を駆け上がる。
提供:デイリースポーツ