「
スプリンターズS・G1」(30日、中山)
王座は譲らない。
ファインニードルが春秋ス
プリントG1制覇を達成。春に続く接戦を制し、1番人気に応えた。2着は11番人気の伏兵
ラブカンプー。3着には前日にJRA4000勝を達成した
武豊騎乗の
ラインスピリットが入り、3連単は20万円超の波乱決着となった。
王者の底力を見せつけた。雨中の電撃戦を制したのは
ファインニードル。ゴール寸前で差し切って、史上5頭目となる同一年春秋ス
プリントG1制覇を達成した。
稍重とはいえ、雨でぬかるんだ馬場状態。「4コーナーの手応えもいい雰囲気じゃなかった」。レース後に川田が振り返ったように、楽な道中ではなかった。それでも、直線入り口から急加速すると、鞍上の
ゴーサインに鋭く反応。馬場の外めから強襲する。「あとは信じるだけだった。“何とか届いてくれ”と思いながらゴールまでともに頑張りました」。前を首差だけとらえたところがゴールだった。
海外では契約を結んだトップジョッキーだけが“ゴドルフィンブルー”の勝負服に袖を通す。「ジョッキーの夢であり、誇り」。春のス
プリント王に輝いたあと、川田はこう口にした。英国遠征した今年の夏には
ファインニードルの主戦としてモハメド殿下に紹介され、「グッドラック」と声を掛けられたという。「感慨深い。ゴドルフィンの所有馬でG1を勝つことができて非常に光栄に思います」と胸を張った。
ホッとした表情を見せたのは高橋忠師。「危なかったなぁ。一番人気を背負っていたのでヒヤヒヤものだった」。2着馬を管理する森田師と並んで観戦したとあって、「隣同士で足の踏み合いだった」と笑みを浮かべた。
12着だった昨年のリベンジに成功。今年は国内で全勝と無双の強さを誇る。ス
プリント重賞の年間4勝は、84年の
グレード制導入後では初の快挙だ。「あの舞台に立ちたかった」と、あこがれていた
JRA賞の
最優秀短距離馬の座も確定的となった。トレーナーは「今年1年でここまで力をつけた。どこまで強くなるのか分からないけど、まだ成長できるのでは」とさらなる伸びしろを期待する。
「馬の状況をしっかりと見極めながら、オーナーと考えたい」。最強ス
プリンターまで登り詰めた今、国内に敵はいない。春に4着に敗れた香港G1への再挑戦に期待がかかる。
提供:デイリースポーツ