「
秋華賞・G1」(14日、京都)
圧巻の走りで牝馬三冠を達成した
アーモンドアイ。10年
アパパネに続く三冠馬を世に送り出した国枝師だが、史上初の偉業を成し遂げてもあくまで自然体だった。次なる
ターゲットは
ジャパンC、そして
凱旋門賞-。つぶらな瞳の名牝とともに、さらなる大舞台を見据えている。
10年
アパパネに続く、管理馬で2度目の牝馬三冠。史上初の偉業を達成しても、国枝師はいつものように、ひょうひょうとしていた。「緊張を表に出さないように。それは本音かって?みんなみたいにズブくなりたいよ」。報道陣に囲まれて笑ってみせた。
アーモンドアイが打ち立てたのは間違いなくきらびやかな金字塔だが、トレーナーはさらに先のことを考えていた。レース直後に「熱中症みたいにフラフラ」していたため、あくまで馬本位と注釈がついたが、今後について「
ジャパンC(11月25日・東京)もその一つ」とし、
凱旋門賞挑戦について聞かれると「やはり我々もファンに夢を売っている。まだ見ないところに行きたい。候補に挙がってくる」と、日本競馬界の悲願をも目標に挙げた。
レース前から、ここを通過点にする構えで臨んでいた。これまでの三冠牝馬4頭が、そろって秋初戦にローズSを使っていたのに対し、
アーモンドアイは
オークスからの直行。能力が突き抜けているから、という計算も入れ、猛暑だった8月からの始動を避けての英断だった。仕上がりも「八分か、もうちょっとくらいかなという感じ」。記録の懸かった一戦を、
ジャパンCへの
ステップとして使う。-師は誰よりも馬の力を確信していた。
内回りでは絶望的とも思える位置から楽々の差し切りV。競走のダメージがどれだけ尾を引くかは、火曜日に美浦に戻ってからじっくり見ていくことになるようだ。超のつく一流馬は目いっぱい走ってしまうものだが、幸い、脚元に異常はなかったという。「これからいい夢を見せてもらうのでは」。
アーモンドアイにとってはまだまだ伝説の序章。秋空に名伯楽の笑みが映えた。
提供:デイリースポーツ